大学受験を見据えた受験の考え方③中高一貫進学校

中学受験

昨日に続いて、進学について考えていきます。付属校の次は進学校です。

大学を見据えた受験の考え方①導入のお話し
当塾は、大学進学を見据えた小学生指導、中学生指導から高校生指導までを行う形にかじをきろうとしています。そこで、大学進学を見据えた受験について今週は考えていきたいと思います。今日は導入の意味を込めて、大学進学を見据えた受験の考え方について。大…
大学進学を見据えた受験の考え方②付属校
前回に引き続いて一つずつテーマを絞りながら話を進めましょう。今日話題にするのは大学の付属校です。ただし、これは私立大学の付属校です。国公立の付属校は内部進学の制度がないので含めません。のちにお話しする進学校の話題で触れるつもりです。中学受験…

長くなりますから、中学受験で目指す場合と高校受験で目指す場合に1日ずつ話を分けていきます。

中学受験で進学校を目指す利点

中学受験で進学校を目指す層は多いでしょう。昨日の付属校のお話でも書いた通りです。

進学校は国公立大学の受験(特に理系)に焦点を当てるところが多いため、数学と英語で顕著ですが授業を早回ししてしまいます。数学の場合、体系数学などの中高一貫用の検定外教科書(公立の中学校が使う教科書のように教科書検定を通過していない教科書、内容は2年で中学の内容を終え、一部高校数学のⅠAの範囲まで学習)を使います。これは、大学入試まで逆算した場合に効率的に学べるよう、一部高校範囲を混ぜながら体系的に整理されていること、裏返せば公立中学の学習内容が非効率ということになります。

このようにして中学数学の内容は2年(灘などのトップ校では1年)で終了、そのあとは高校数学ⅠA、ⅡB、ⅢC(これは理系)を1年ずつかけて学習し、高2または高1で理系数学の範囲を終了し、残った1年ないし2年を入試に向けた対策と演習に振り向けます。

英語も同様で、検定外教科書(プログレスやニュートレジャーなど)を使って検定教科書より高度な内容を学習し、英単語の習得レベルも高いです。同時に英文法は塾が使っているテキストや問題集の発展編などレベルが高いものなどを使いながら、数学に負けないハイペース、ハイレベルで学習していきます。

すべては大学入試の突破にあります。特に国公立、とりわけ理系の場合、早くに数学の範囲学習を終えていることは大きなアドバンテージになりますから、中学受験で進学校を目指す層は、この早くて効率的なカリキュラムを手に入れるべく受験に励むことになります。文系であってもアドバンテージは大きく、数学の範囲がⅡBまで(Cのベクトルも含む)なので、さらに1年くらいのアドバンテージを得ます。国公立大学の中でも難関大学の文系学部は必ず二次試験で数学がありますし、共通テスト含め配点も決して低くないため、文系なのに数学ゲーになるのは必定です。

もう一つ大きな利点は、中学受験を経てきた子ばかりが集まる環境、勉強や進学への意識が多少なりとも高いメンバーに囲まれる環境が、お子さんの進学意識を高める可能性が高いのも大きいでしょう。クラスの大半の子が東大志望、京大志望という環境にいると、当たり前のように「自分もそうなるもの」ととらえて勉強に励めるという点は確かにあると思います。

国立大学付属の場合

阪神地方には、大阪教育大学の付属(3つ)、神戸大学付属のような国立大学付属の中高一貫校があります。神戸大学付属以外は高校からも募集があります。進学校として認識している方も多いでしょう。

しかし国立大学の付属校は私立とは少し違います。基本的に公立校と同様、文部科学省の学習指導要領に従って授業が進みます。先取りや早回しによる受験教育は行われません。ただし、教育学部や教育関連学部の付属なので、教育理論の実践の場として、公立校とは異なる様々な教育の取り組みを実践しています。その取り組みの一環による高度な探求学習などを進め、神戸大学付属のように推薦選抜で東京大学などの合格者をコンスタントに出すところもあります。推薦なので数は多くないですが。

私立の進学校のような形ではないものの、新しい教育理論の実践による高度な学び(進度の速さとは異なる)、厳しい受験を経てきた子たちが集まる環境という面では、国立大学の付属校も私立に負けない利点を多く備えていると思います。

このような取り組みに近いことをしているのが公立の中高一貫校です。芦屋などにありますが、尼崎にはないのでここではあまり触れないでおきます。

中高一貫進学校のデメリット

とはいえ、進学校にはデメリットもあります。この早い学習についていけるかどうかが焦点になります。かつて見たことのある子(甲陽学院中1年生)の冬休みの宿題は因数分解(公立中なら中3の1学期)でした。しかも、高校数学で学ぶたすき掛けによる因数分解や一文字整理による因数分解も含んでいます。

このような速く難しい学習に問題なくついていけるのなら、進学校のカリキュラムはこれ以上ない威力を発揮します。しかし、それについていけるのはトップ校を除けば上位の一部だけです。学校としてもその一部の子たちに東大京大その他国公私立の難関大学や医学部医学科などの合格実績を稼いでもらうことが大切ですから、ついていけない子にとっては悲劇です。早すぎて、塾などでフォローしてもらおうとしてもそれを上回るペースで授業が進んでしまうからです。

結果、中学範囲まではどうにかなったとしても、授業が高校の範囲に入るころには数学などの脱落者が、特に中堅校以下の高校では大量に発生します。結局公立高校の子たちと同じように塾でフォローしてもらうなどして勉強しなおして持ち上げていくことになります。これだけでも中学入試のアドバンテージがすでに吹き飛んでいるのですが、もう一つの大きな問題が隠れているのです。そしてこれは、進学校の問題ではなく、学校に責任がある話ではありません。

親のプライドが妨げる私立大学への道

東京のように、早稲田大学や慶応義塾大学といった超有名な私立大学がある地域ならまだいいかもしれませんが、そのような全国に名がとどろくほどの私立大学がない地方の場合は、国公立大学への志向が強くはたらきます。関西の場合、進学校に子どもを通わせる親御さんからすると、「進学校に入れた。これでうちの子も神戸大学以上だ」と考える方は多いと思います。

この「神戸大学以上」というのが大変です。神戸大学は公立トップ校や私立のトップを除く進学校でも上位3割以上が合格者の目安になります。京都大学ともなれば上位5%くらいにいなくては厳しいでしょう。多くの人は脱落し、地方の国立大学や地元でも公立大学、あるいは関関同立のような私立大学に目を向けることになります。

ここで中途半端なプライド(特に親御さんの)が入ると、ギリギリまで「神戸大学以上ないし地方でもいいから国立大学」にこだわってしまうことになります。文系の場合は数学や理科、理系の場合は国語や社会に勉強時間を割き続け、科目を絞って勉強していれば合格の可能性が高まったかもしれない関関同立などの大学の合格もままならなくなる事例は多いです。

上に挙げた進学校のデメリットにはまってしまった場合、この傾向は顕著に表れます。進学校に入れたからと言って、特に理数系科目の適性が高いかどうかは別問題です。そして客観的に見れば「早く数学に見切りをつけて関関同立に目を向ければ闘えるのに」と思われていても、なかなか踏み切れないというケースにはまってしまうのです。

進学校が悪いということはできません。お子さんを客観的に見つめる目が親御さんに養われているかが問われます。

おわりに

中学受験での進学校進学について考えてみました。

カリキュラムや環境面といったメリットは間違いなく存在します。特に国公立大学の受験には効果を発揮しますし、それが公立中学高校に比べて非常に大きなアドバンテージになることは間違いありません。

同時に、そこから漏れてこぼれてしまった場合は大変です。そこから軌道修正して私立の難関大学に切り替えるなど柔軟に対応できればいいのですが、変なプライドやこだわりにとらわれて関関同立の合格もままならない結果に終わる人も少なからずいるのが現実です。

色々な意味での(厳しい勉強に挑む、あるいは見切りをつけなければならないなどの)覚悟をもって挑むのが進学校を目指す際に気を付けるべきことでしょう。

明日は公立中学から高校受験を経て、大学の付属校以外の高校から大学受験に挑んで大学進学を目指す場合を考えます。

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