昨日は市立尼崎高校の昨年の進路実績を使いながら、何を見ているかについてお話をしています。

今日はこれに続ける形で、さらに進学実績の中身を掘っていこうと思います。
市立尼崎高校の進学実績の数字はこちら。
関関同立
関関同立大の数字を見てみましょう。同志社10、関学46、関大56、立命館4と出ています。
同志社と立命館は偏差値が関関同立の中でも高いことに加え、キャンパスが京都にあって家から通いにくい(無理をすればいける)環境なので、少なくなるのはわかります。
関大・関学合格者の内情
関学にまず注目してみましょう。実人数は昨日のお話で20~25人くらいかな、と書きましたが、その内訳はこんな感じになります。
まずは指定校推薦です。これは枠が年々変動することもあり、学校は公表していません。というより公立高校はどこも公表しません。しかも関学はここにきて指定校推薦枠を減らす流れですので(以前が多すぎた)、数は少ないでしょう。これは合格者数イコール実人数とカウントできます。次に総合選抜による合格者が入ってきます。関学の総合選抜はなかなか難しい(要求水準がそれなりに高い)ので、ここも数はさほど多くはないと予想しています。これも年内入試ですので、合格者イコール実人数と考えても間違いはないと思います。これらがおそらく合わせて最大でも5人くらいかなと思います。
そうすると、残る20人弱くらいが一般選抜合格者とみることができます。そしてこの中身はまた二つに割れます。ひとつは関学ガチ勢、関学を第一志望にして受験して合格した層です。もうひとつは併願勢、国公立大学などの併願として受験する層です。
関西大学も同じようなことが言えます。関関同立の大学は公募制推薦(いわゆる学力試験を使った年内入試)があまりありませんので、関学同様指定校推薦と国公立併願者が多くを占めていると考えていいと思います。
あとひとつは、体育科からのスポーツ推薦です。関関同立に限らず、有名な私立大学は何かしらのスポーツで大きな実績を持っています。高校時代の実績でそこに推薦で入学していく人も、当然計算に入れる必要があります。
私大受験者層、合格者層の実情
ここで実績データから少し離れたお話をしましょう。
例えば関学の合格者のうち、どのくらいの割合が「関学第一志望」なのか。実際の数字としてみるなら決して多くありません。それは、合格者の大半が国公立大学の併願者だからです。関学の場合は家から通える範囲になる場所、同じ兵庫県(神戸大学や神戸市外国語大学など)や近隣の大阪府の国公立大学(大阪大学や大阪公立大学など)の併願校になりえます。安易に「国公立>私立」というのは適切ではありませんが、特に京阪神エリアでは国公立大学の人気とレベルが高いため、相当以上の学力の人たちが国公立大学受験に挑み、かつ私大を専願にしている人よりも多くの合格をかっさらってしまいます。これはなぜでしょうか。
私大の専願者は、国公立大より少ない受験科目でなおかつ専願ですから、私大の過去問対策はより多く行えたはずです。それでも国公立の併願の合格者が多くなります。理由のひとつは、国公立併願者の中には共通テスト利用(併用)入試で出願だけして合格してしまう人が一定数いることによります。ちなみに共通テストでの神戸大学のボーダー得点率は、おおよそ文系学部で80%程度のようです。一方で関学の共通テスト利用の場合、文系学部のボーダー得点率は80%弱、神戸大学に合格できるレベルの受験生が共通テスト利用で関学に出願すればほぼほぼ合格してしまいます。
もうひとつは共通テスト利用ではなく、実際に大学まで併願校を受験しに行くパターンです。共通テスト利用で出願したものの不安だから、一般選抜も受けに行く人たちのことです。この人たちでも、私大対策をおろそかにする、甘く見ると見事に撃沈させられます。とはいえ、国公立受験生は限られた時間で私大の倍以上の科目数を勉強している経験から、効率的な勉強の仕方が確立しています。この勉強の仕方のお話はいずれしますが、この勉強の仕方ができる学力で挑んでくるので、結局専願者よりいい点を取って合格してしまいます。
私大、特に関関同立のような難関私大を大学受験で目指そうという場合、相手はこういう人たちです。私大専願の入試は想像しているより厳しい戦いになるということだけは頭に入れておかれていいと思います。
国公立大学
最後に国公立大学の合格者を見ておきましょう。昨日も書いたとおり、国公立大学の合格者数は、イコール実人数です。推薦であっても一般であっても、国公立大学は基本的にひとり1校しか合格できないからです。
市尼のデータを見ると、国公立大学の合格者は20名です。この中で少し注意してみておくべきなのは、近畿圏以外の大学、例えば徳島大学や鳥取大学などです。地方国立大学といわれる大学ですが、おおむねこれらの大学は推薦で合格している可能性が高いです。細かくは大学や学部によって千差万別ですが学校で研究活動などをし、それを発表して面接を受けるなどが、ざっくりとした国公立大学の推薦入試です。そして地方国公立大の場合、推薦選抜に共通テストの受験義務が課されないことが多いです。ですから、近畿圏であったら四国や中国のような近くの地方にある国公立大学を推薦で狙う層は一定数います。
もうひとつ注意が必要なのは筑波大学や鹿屋体育大学です。これらの大学は体育学科があるため、体育科の生徒さんが推薦で行った可能性が高いです。普通科の中から一般選抜で突破していった数でみるならおよそ半分、10人弱くらいがそれにあたるのではないかと私は見ます。
おわりに
2日にわたり、進学実績の見方を実例を引いて考えてみました。昨年の市尼の高3生の場合、トップ15位以内が国公立大学へ、およそ学年上位40位くらいまでの人が関関同立へ、産近甲龍が真ん中より上(普通科が200人ほどなので学年上位2ケタ台半ば)、追手門学院大や大阪産業大といったボリュームゾーンの大学が真ん中から75%くらいの順位帯と見るのがいいでしょう。もし進学した場合にお子さんがどのような位置にいられそうかを考えるというのも、高校進学を考える際の重要な指標と見ていいでしょう。
当塾では、これらデータの見方を踏まえて進学後のお話をしながら、高校受験の選定などのアドバイスをしていきます。
