塾の進路指導というと、模試などの成績を見て「この成績ならこの高校」「この偏差値ならこの大学」といった具合で行うものと考える人は多いかもしれません。
もちろん数字はウソをつかないのでそういう面があることは否定しませんが、正直なところを言うとそういう予測は誰でもできます。例えば生徒の偏差値が55で、目指す高校の偏差値が53であれば、「まあ受かるだろう」と考えるのが普通ですし、それは誰だって思うはずです。ボーダーラインの偏差値や内申点の情報は、塾でなくてもある程度手に入れることはできます。
でも、塾で行う進路指導というのはそういうものだけではありません。塾の指導の価値はそういうところにはありません。
学習指導を通じて見る進路指導
塾であれば、毎回の授業や質問対応などでお子さんの表面的な成績の数値以外の特性や適性を見ています。そして同時に、卒業していった生徒たちのその後を知れる環境であれば、その結果に至るまでデータを蓄積できます。
それは偏差値と合否結果のように単純な数字だけで見えるものではありません。お子さんと数多く接してきた経験から得られる肌感覚の蓄積です。だから心ある塾であれば無理に高偏差値の学校ばかり勧めないものです。
高校に上がる際にどのような生活を送ってくれそうかまで、塾を長く続けていると高い確率で正解が見えるものです。もちろん人間ですからすべてが当たるとは限りませんが、最適に近い進路のアドバイスはできます。
塾に何を求めるか
塾に期待するものが何であるかによって変わるとは思いますが、まず「成績や数字、学力が上がればとりあえずOK」という考えはもちろん否定しません。トップ校を目指すなど目標が明確であれば、むしろその方がいいでしょう。
大手の進学塾のようにトップ校の進学実績を増やすことに血道をあげているところであれば、上のクラスでついていける学力があればしっかりついていってトップ校を目指してほしいと思います。トップ校でしっかりついていって、その高校が目指す大学(国公立の難関大学など)にしっかり入れれば結果は最高でしょう。
そういう塾さんの進路指導は、お子さんがトップ校などを目指すために必要なもの、足りないものを過去の膨大な合格実績から見出してくれます。
塾の方針「大学受験をゴールにした進路指導」
ただ、私の塾としての考え方は少し違います。ゴールはどこまでいっても大学受験に置いていますので、中学生、早ければ小学生の段階から目指せる大学や目指し方については、学年による濃度の違いや将来の変化のゆらぎはもちろん可能性として考慮に入れたうえですが、考えて日々勉強を見ています。
これはお子さんの可能性を早いうちから狭めようとしているのではありません。無責任に「お子さんの可能性は無限ですから」という考えをとることができないのです。しゃにむに学力を引き上げて将来の可能性を増やそうという考えは、それはそれで納得できるものではありますけれども、果たしてそれにかなう結果を実現できそうか、高校入試の段階では可能であっても大学入試の段階で同じことが言えるのかといえば、それは難しいです。
適性に合わない勉強の世界に足を踏み入れると、それは地獄です。早くから適性を見極めて受験科目を絞った勉強をしていれば合格できた名門の私大にも合格できず、適性に合わない勉強で国公立大学はかすりもせず、そういう目に合ったトップ校のお子さんも知っています。
私の目指す進路指導はあくまでも、こういう(進学という意味においては)悲劇的な高校生活、受験生活のような境遇にお子さんのを置いてしまわないようにすることです。
最適な努力をしよう
私の仕事は、今の瞬間の段階でトップ校や高偏差値校を目指せるかに力点を置いた進路指導をすることではないと思っています。適切な勉強を小学校、中学校、高校と続けていって、実力や適性にできる限り100%に近い形でマッチした進み方を模索していくことです。
これは「無理なく楽しく大学進学♫」という甘い方針ではありません。相当以上の努力はお子さんに強います。ただしその努力が花開くようにさせてあげたいということにつきます。花開く見込みがないことに精いっぱい努力するのは空しいものです。空しいだけならいいですが、貴重な時間やせっかく手にできたかもしれない他の魅力ある可能性をふいにしている分、悲しくもあります。
これがないように、お子さんとコミュニケーションをしっかりとって、親御さんともコミュニケーションをしっかりとって、何がお子さんやご家族にとって最適解かを考えたいと思っています。もちろんそれは私ごときが勝手に決めるものではありません。私にできるのは可能性とアドバイスの提示です。でも、そのアドバイスや可能性の提示が、お子さんやご家庭にとってのよりよい指針の一つになってくれることを願っています。
そして、その可能性を見出せたなら、そこに向かう努力は誰よりもしてもらいます。厳しいことも言いまくることもあるでしょう。ただしそれは、その努力はきっと花開くという希望ではなく確信を背景にして行います。
おわりに
最後に、そういうある種濃密な関係を作っていけるお子さん、ご家庭、親御さんとともに当塾は歩んでいきたいと思います。
それこそが、私は親身な指導ではないかと固く信じています。

