昨日までのお話で、塾に通って成績が上がらないパターンなどを考えてみました。


結局のところ、塾に通って成績が上がるのかという問題は、お子さんの学習適性など、親御さんの塾に対する考え方、塾ごとの得意分野がミスマッチしないようにという点が大きくなりそうです。
では、それぞれの塾の形態を少し整理しながら、お子さんにとってどういう塾選びがベストか、ベストにはならなくともベターかを考えていきましょう。
主に考えたほうがいいのは、各形態のシステム、得意分野だと思っていますので、この二つを軸に考えていきます。
まずは集団指導塾からです。
集団指導塾
名前の通り、大きめの教室で複数人の生徒を相手に一斉授業を行う形態の塾です。
かつては学校の教室くらい大きな部屋に何十人も集める形態もありましたが、昨今の少子化や少人数教育へのニーズその他から、大規模な塾であってもクラス分けを実施するなどしてひと教室当たりの人数は抑えているようです。
大手の進学塾であればコース分けを実施するところも多いですね。
集団指導塾のシステム
集団指導塾では、塾ごとのカリキュラムに沿って予定通りに授業を進めていきます。授業自体は解説、演習、宿題、確認テストなどをサイクルで進めるのが一般的です。カリキュラムも塾によってさまざまで、教科書に準拠して進めるところもあれば、全く関係なく体系立てたカリキュラムで進めるところもあります。
復習や定着のために宿題や単元テストなどが適宜課されるなど、学校と似たような指導形態と言えるでしょう。授業進度は学校に比べて進んでいます。いわゆる先取りですね。進み具合は塾によります。中3の2学期で全範囲を終えるところもありますし、中3の夏休みで中学の全範囲を終えるところもあるそうです。
学校よりも早い進度で授業を進める利点はいろいろありますが、大きく分けると次の二つでしょう。
ひとつは、学校の授業を余裕をもって聞いていられる状態をつくり、定期テスト前までに「塾の授業、学校の授業、テスト対策」とテスト勉強にも余裕を持たせられる状態をつくれる点です。
もう一つは、早めに学校の授業範囲を終了することで、入試対策に時間を充てることができる点です。入試問題は過去問や類題を数多く練習することで点数が上がりますから、早めに対策に移行できる点は大きなメリットです。
集団指導塾の得意分野
集団指導の場合、得意とするのはある程度勉強への適性が高い子です。学校よりも少ない授業時間で学校よりも進んだ、あるいは学校で扱いきれない高度な難問対策などをするわけですから、授業にはかなり高い効率が求められますし、その中でペースに合わせて勉強できる力がある程度備わっていないと授業を消化できず、宿題もままならなくなります。だから多くの集団指導の進学塾は成績や点数などの入塾基準を設けたり、入塾テストを実施して入塾の可否を決めたりクラス分けを行ったりします。授業の質を維持することと、得意な生徒層を多くしたいからです。
そして、その得意分野にハマる層の子はしっかり成績が上がることが多いのです。学年トップ層の子の多くが大手の集団指導の進学塾に通っているのはこういう理由です。進学塾に通って成績が上がるというのは間違いないのですが、もともと高い力がさらに引き上げられている、その環境に適応して成績が上がりやすい子ばかりがいるだけなのが実情です。
その結果と言っていいかもしれませんが、集団指導は進学塾に多く見られます。難関校の進学実績を多くうたっているのがそれを示しているといえるでしょう。その結果を出すために、優秀な講師の先生は上位クラスの担当になることが多くなります。
集団指導塾選びの注意点
まず、お子さんの成績が平均点に届かない場合は厳しいでしょう。選択肢に入れない方がいいと思います。上で挙げた「塾の授業、学校の授業」がばらばらな状態は、勉強が苦手な子の場合は混乱を招いて苦痛でしかありません。そもそもそのような成績だと塾に入れてもらえること自体が厳しいですが。
次に進学実績に目を奪われるのにも注意が必要です。大手の進学塾はクラス分けを行い、上位クラスの生徒で上位校やトップ校の進学実績を稼ぎ出します。並程度の成績で入り、下位、中堅のクラスで過ごしていても結果が期待できるかと言われると難しいと考えたほうがいいでしょう。
中学受験の話ですが、マンガ「二月の勝者」の中で「Rクラス(下位クラス)はお客様」という発言がありました。ご機嫌を取りながら在籍してもらって、授業料を払ってもらい続ける人たちという意味だそうです。いささか言いすぎな面はあると思いますが、高校受験の塾であっても、下位クラスがお客様という考え方をしている人はいるかもしれません。もし本当にそう扱われているとするなら、下位クラスにお子さんを通わせるのは意味がないどころかマイナスです。
逆に成績が上位の子にとっては、集団指導のシステムは非常にハマりやすいです。集団授業が苦手な子でないなら、進学実績に挙がる学校に合格できるよう組まれたカリキュラムや指導システムに順応しやすく、期待にかなう成果を上げられる可能性は高いです。
おわりに
集団指導塾は学校が物足りない、トップ校を目指したいなど、学力や勉強への適性が高い子にとっては恩恵が大きい指導形態です。性格の問題(集団が苦手)などがないのであれば、積極的に選んでもいいと思います。
逆に適性が低い子にとっては苦痛が大きいでしょう。結果が出にくいうえに、クラス指導の特性上周りとの比較が容赦なく行われる環境ですから自己肯定感も下がるリスクが高くなります。
そして特に進学塾がうたう合格実績にも注意しましょう。そこに食い込めるのは上位クラスの子たちです。わが子が上位クラスに入れない時点で先は厳しいです。進学塾が築き上げる合格実績は立派ですし、素晴らしいです。ただ、その素晴らしい実績とお子さんには何の関係もない、という冷静な目をもって考えていってほしいですね。
明日は個別指導塾を考えます。

