夏期講習の時期になると、よくSNSなどで見かけるのが「夏期講習の費用をウン十万円請求された」の類。授業コマを増やす形で夏期講習を行う個別指導塾などでよく聞く話になる。
私も確かに、教室長として勤めたことのある個別指導塾で季節講習の時期になると、面談という名の商談が開始された。さすがにウン十万円という話は経験しなかったが、おおむね中1,2生で3~5万円くらい、中3生で10万円前後という金額の提示が多かったと記憶している。もう10年以上昔の話だから、今はどうなっているかは知らない。
こういう「夏期講習ウン十万円」という話になると、「ぼったくり」というワードが出てくるのだが、そもそもの話として、塾にぼったくりは存在しえないと思っている。塾の講習、特に個別指導塾の講習は増コマ分に比例して金額が積みあがる計算になる。よく漫画やドラマで見かける「普通の店なら1本1000円くらいのビールを頼んだら10万円請求された」のように、正規の価格、市場価格に比してありえないくらい高い金額を請求する行為がぼったくりだと、私は勝手に定義している。一コマ3000円の授業が30000円になった、のように、授業そのものの質が変わらないのに単価が大幅に変動するならぼったくりと呼ばれても致し方ないと思うが、そうではなく、単に授業コマ数が多くなった結果、合計金額が高くなったというのが正確な言い方になるだろう。最初に挙げた書き込みなどに対する評し方としては、「ぼったくり」ではなく、単に「高額請求」「大幅な増コマ提示」と呼ぶが正しかろう。実際塾の先生などのリプライでは、高額請求と書いている。
これだけ聞くと、「個別指導塾の肩を持つのか」と言われそうだがそうではない。仮に1コマ3000円の個別指導で30万円の提示となると、増コマ数は100コマくらいになる。1コマ90分だとすると授業時間は9000分、実に150時間になる。仮に夏期講習期間を、お盆や日曜などを除いて30日程度とすると1日の授業時間は5時間。5時間全て授業というのは、勉強の質という面では非効率だと思う。
なぜ非効率かと言うと、ここからが本題に近いのだが、多くの先生が言うのと同じで、成績が上がる瞬間は授業を受けている間ではない。自分で手を動かして自分で解けるようになる瞬間、そしてその自分で解けるものが増えた時に他ならない。授業はそのための後押しの部分が大きい。個別指導は特にそうだが、「先生が教えてくれて解けるようになった」で満足度が高まってしまうと、授業数をいっぱい増やしてもっとできるように、と考えてしまうし、塾もそう考えさせるように仕向けるようになる。
その結果、テストなどになると自分の力でできないので点数が伸びない、ということになる。自分の力で解ける勉強をする時間がどれだけとれるかで授業時間数、増コマ数は判断すべきだろう。もし、そういう「自分で勉強する」側面を無視して、ただただコマ数増やせの一点で提示するような塾であれば、それは悪質な高額請求と言っても差し支えないのかもしれない。
もうすぐ夏期講習に関する面談その他は大詰めに近い時期が来るのかもしれないが、夏期講習について悩む場合、自分で勉強する時間、授業で先生についてもらう必要がある時間、中学生の場合は学校の宿題をする時間、そういった時間の兼ね合いを考えてコマ数は判断すべきだと思う。単に10万円を超えたから高い、ぼったくりだ、と考えるのは早計で、金額も大事だがそれよりも時間を考えて判断するのが大切だと思う。自分で勉強する時間と、必要な授業を進める時間、そういったものを総合的に勘案して授業数や金額を提示してくれる塾であれば、受け入れても間違いはないのではないか。
わが塾では、夏期講習は授業と演習の組み合わせという、オーソドックスな授業で進む予定。講習費用は、通常授業より長くなる時間分をご負担いただく形をとっている。講習生という形での募集はしていないが、もし勉強に不安があるのであれば、ぜひお話を伺わせてほしいと思っている(少し宣伝)。

