この時期にしていた方がいい勉強、というように、勉強にもその時期その時期においてやるべきことというのは存在する。そのタイミングを逆算して学習計画を立てることがあると思うが、たいていはうまくいかないことが多い。
計画を立てること自体を否定することは決してしないが、計画にも立て方というのがあるというのが今日のお話の趣旨になる。うまくいく方法を話すよりも、失敗することが多い考え方を整理する方がわかりやすいと思うので、失敗しやすい計画の立て方を考えてみたい。
失敗する計画の立て方
最初に大前提として、失敗しやすい計画の立て方には「極度に理想化した計画の立て方」と「自分基準の計画の立て方」の二通りがあると思っている。前者は「こういう風にできたらいいな、進めたらいいな」をすべて詰め込んだ計画にしてしまうこと、後者は客観的に「この時期にできていなくてはいけないこと」などを把握しないまま計画を立ててしまうことになる。
前者から考えてみよう。極度に理想化したものは見た目には素晴らしい計画に見えるが、現実は残酷だ。どうしても外せない用事ができたり、様々な原因で学校その他の予定が狂うことは当然ある。インフルエンザなどで寝込む可能性もある。1日単位のスケジュールで見てもそうで、腹痛がひどくなってトイレから長時間出られなくなる可能性は誰でもあるし、家族の都合で食事その他の時間がずれたり狂ったりすることは当然ある。
こういう場合、理想的に組みすぎた計画は修正が難しい。ギリギリに組まれているからだ。予定を後に倒して寝る時間を削ったり、1回日曜日を犠牲にしようとすることなどで最初は対応しようとするかもしれないが、それがために次の日に眠くなったり体調がすぐれなくなったりしたらどうするのか。家族の用事その他で削れる日曜が先になるとどうするのか。だんだん予定のやりくりに忙殺され、計画を守ること自体がばかばかしくなってしまってそれなりけりになる恐れがある。
後者はどうか。自分にできる範囲を基準にしている分、計画そのものは実行できる可能性が前者よりは高いだろうが、その結果志望校の合格のために要求される水準を満たしていなかった場合はどうにもならない。定期テストなどでも同様で、客観的な基準なしに「これだけできたら大丈夫だろう」と予想するのは危険だし、それをしてうまくいくのはよほど慎重な性格の子に限られると思う。
では、計画を立てたいと思うならどのようにするのがいいか。もちろん一人ひとりの力や性格によるところが大きいので、あくまでも一般論としてのお話にはなる。
修正のための「遊び」を設ける
上で挙げたうちの前者にあたる、「極度に理想化された計画」を取りがちな場合への対策だが、不測の事態があることを念頭に置いた遊びの部分を設けることだ。
例えば時間で言うなら、寝る直前などのギリギリまで予定を組んだりせず、終了予定を早めることなどがそれだ。1日の中でイレギュラーが起こったら就寝予定の時間までの時間を切り詰めるなどできるし、1日が大過なく過ごせたのならリラックスする時間に充てたり、英単語の確認をするなどの隙間時間にやっているようなことをして眠くなるのを待つのもいい。
時間に余裕を持たせるような計画の立て方がいいだろう。
基準を時間から内容に変える
これができるようになるまでやる、と時間ではなく内容を基準にするのも一つだろう。例えば9時から10時まで英語を勉強する、そのあと11時まで数学を…と決めるのもいいけれど、その時間で何ができるようになったかがあやふやになってしまいかねない。だからこそ、何時から何時までという決め方をすべき科目とそうでないものをわけ、後者については、例えば英語なら「関係代名詞の問題が解けるようにする」のように単元で考えるもよし、「教科書のUnit〇の学校ワークがすべてわかるまでチェックする」のように教科書やワークの中身で考えるのもいいと思う。「1日で終わり切らなかったら?」ということも考えられるけれど、それは明日への積み残しにするのだ。時間目標から達成目標に切り替える考え方にするというのも一つの手だと思う。
第三者の力を借りる
これはどちらかというと「自分基準で考えてしまう」タイプの子に必要かもしれない。例えば受験を知っている塾の先生に頼ったり、学校の先生からヒントをもらったり、あるいは学校で成績がいい友達に聞いてみるのも(可能なら)いいかもしれない。
そして、上に書いた「基準を時間から内容に切り替える」場合にも大切なことだと思う。時間と違って内容というのは基準がはっきりしない分わかりづらいからだ。
要は基準を客観的な第三者に委ねること。この時、若干心苦しいが家族の声を第三者に見立てるのは難しい。「家族だから」という甘え(子供の側)と、「頑張らせたい」と無理を言いたくなる気持ち(親の側)という二つがぶつかってしまうからだ。それぞれ主観が勝つ「自分」または希望が勝つ「子供」が基準になってしまって客観性が保ちにくい。これは親御さんが高学歴や成績優秀であったとしてもそうなる。もしかしたら逆にそれゆえに子供の力を無視した理想を押し付けるようなことにもなってしまいかねない。
グッとこらえて第三者にアドバイスを求めるのをお勧めしたい。
ここで気を付けてほしいこと。「定期テストで80点以上取るための勉強計画」「〇〇大生が受験生の時に立てた受験勉強計画」のように、試験その他の結果に対する一般的で客観的(に見える)な書き方の見出しに振り回されないこと。あくまでも基準にすべきは必要な知識量や取れていなくてはいけない問題レベルの話であって、計画そのものにはない。定期テストで80点以上取りたいなら、各単元の基本問題に英単語や漢字、理科や社会の用語問題は必答だが、そういう80点以上取っている子が必ず落とさない知識や問題が基準に立つべきであって、計画はそれをものにするために立てなくてはいけない。「この計画に従ったから80点取れる、あるいは〇〇大学に受かる」というわけにはいかない。
計画を立てるために
まずは子どもの力を客観的に知ろう。例えば今まで30点台しか取れなかった子に、いくら客観的な立場から見たとはいえ、いきなり80点以上を目指す計画を立てても実行できる可能性は低い。まずはできることがどれだけ増えるかを目安にしなくてはいけない。そこで、どの部分から手を付けて増やしていけるか、それをつかんでくれるのが、私たちのように日常からお子さんを見続けている塾の仕事だろう。
次に、立てた計画を守らせよう。守り切れなくなるリスクを考え、ぎちぎちに詰めた計画は立てない方がいいし、またその計画が押し付けにならないよう、お子さんとは細かく合意をとりながら立てていかなくてはいけない。お子さんの意見もある程度は取り入れたほうがいい。お子さんの意志が全く反映されない計画は、以下に客観的でよくできたものであっても「押し付けられたもの」に過ぎないのだ。
私もできる限りお子さんに寄り添いながら、負荷をかけつつ計画的に勉強を見ていかなくてはいけない。

