こんにちは。
今回は前回に引き続き、通知表の評定についてお話しします。
今回は成績「3」について。
成績「3」
「3」というのは、評価として「おおむね満足できると判断されるもの」、内部的には10~8点の生徒が該当します。
計算のされ方については前回記事をご覧ください。オールBだと3×3=9点なので、オールB前後という評価になります。
イメージとしては、
「テストの成績がおおむね平均点前後。平均点を割ることもある。」
「提出物は一応期限内には出している、最低限、指示した内容はこなしてはいる。」
「授業は一応聞いている。積極的な発言や主体的な学習はあまりできていないか。」
といった感じでしょうか。
「目立って良いわけではないが、悪いことはしていない」というところでしょう。
普通の子、というイメージになるかもしれませんね。
ところが、この「普通」という感覚、非常に厄介なんです。
親世代と今の世代の感覚の違い
お子さんの通知表で「3」という数字を見たとき、どんなイメージをしますか?
私も塾講師を続けてきて、こんな声をよく保護者の方から聞きました。
「成績3なので英語は普通なんですけど、数学が2なのでちょっと頑張らせたいんです。」
「全体的に成績3でまあまあ普通なのでもう少し頑張れば〇〇高校いけますかね?」
両方のセリフに共通しているのは、成績「3」イコール「普通」という感覚です。
そして、中学3年生の進路懇談で担任の先生からこう言われるんです。
「オール3だと〇〇高校は難しいです。△△高校なら出せると思いますけど。」
ここで、〇〇高校というのは、おおよそ入試偏差値50くらいの高校を指します。
尼崎ですと、市立尼崎、尼崎小田の普通科あたりが該当します。
△△高校はおおよそ入試偏差値45前後かそれ以下の高校です。
尼崎ですと、県立尼崎や尼崎西、双星の普通科あたりです。
そして何かおかしいと感じるのです。
「偏差値50って平均点のことだよね。どうして「普通」の成績であるオール3なのに無理なの?」
実はここに、評定値に対する誤解が存在するのです。
あえて強く言います。
成績3は普通ではありません。普通よりも低いと思っておいてください。
以下、お話ししていきます。
絶対評価
我々の世代、つまり保護者の方の世代では、通知表の評定は相対評価でした。
相対評価というのは、クラスの中で「5は〇%、4は△%、・・・」というように、評定値の人数割合が決まっている評価方式です。ですので、クラスの中には必ず5がつく生徒も1がつく生徒もいたのです。
そうすると、必然的にクラスの中で「トップレベル=5」、「上のレベル=4」、「真ん中のレベル=3」、「下のレベル=2」、「かなり下のレベル=1」という形が出来上がるので、「3」イコール「普通」と考えても大きな間違いではなかったのです。
しかし、2002年度、クラス内の序列で成績を付けてはいけない、ということから評価方式は絶対評価に変わりました。いわゆる「ゆとり教育」の一環で始まったのです。
絶対評価というのは、クラスのほかの生徒との比較ではなく、生徒個人の取り組みや態度、点数などのみを見て評価をしよう、という方式です。評定の割合が決まってない、個人の取り組みだけで評価、ということですので、生徒たちの取り組み状況が全員極めて素晴らしければ全員「5」、逆であれば全員「1」というのも理屈の上ではあり得るのです。
この方式に変わった結果、あることが起きたのです。「3」をとる生徒が増えたんです。
相対評価だったときは、テストの点数などから、ある程度機械的に成績は決まっていました。順位に従っていけばいいのですから。ボーダーライン上の生徒が多くて全員に同じ成績をつけられないときに、提出物や授業態度の優れた方が「4」、そうでなかった方が「3」という風にすればよかったのです。
絶対評価になると、このような状態になったとしても、全員に同じ成績をつけられるようになったのです。人数が決まっていないのですから、可能ですよね。
そうするとどうなるか。先生によっても違うので一概には言えませんが、厳しい成績をつけるのをためらう先生(こういう先生、多いと思います)だと、ついつい評価が上になってしまい、かつてなら「1」だった生徒が「2」に、「2」だった生徒は「3」になっていきました。当然、「3」だった生徒の一部は「4」になりました。(ちなみに「5」は前回お話ししたように、ハードルが高いです。)
もうおわかりですよね?
成績「3」の生徒というのは、親の世代では「2」がつけられていたような生徒も含まれてしまっているのです。
「2」って普通ですか?違いますよね?そうすると、偏差値50の高校にオール3では入れないことも納得いくのではないでしょうか?
最後に
長くなりましたが最後に。
私自身は「普通」という言葉が大嫌いですが、あえて私の考える普通の成績の定義を。
「比較的得意な複数の科目で「4」、そうでない科目でも「3」がもらえる人」
と定義したいと思います。
実際、この成績だと偏差値50くらいの高校の合格ラインになってきますよ。
「普通」の成績、「普通」の高校を目指すのであれば、上記を目標にしてみてください。
次回は成績「2」、「1」についてお話しします。
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