デジタル教科書の導入(単独での使用)をめぐって、以前ニュースになっていたのが「単独での使用ができるようにする」であった。要は紙の教科書の補助としての運用のみに留まっていたデジタル教科書が、紙の教科書なしで単独で使える、ということだが、先日のニュースで文部科学省(大臣)の素案が出たことで再びニュースになった。
素案の中身はというと、以前のニュースにもなった単独でのデジタル教科書の使用を「小4以下は認めない」、「小5以上も英語や実技科目に限定」という方針らしい。紙の教科書がベースで、デジタル教科書はあくまで補助、という方針に転換する流れになりそうだ。デジタル教科書導入の流れという意味では若干の後退と見るべきか。とはいえ本格導入は学習指導要領の改訂がある2030年度(小学生、以後1年ごとに中学、高校と改訂)からなので、最終決定とはいくまい。まだまだ文部科学省でも有識者会議などでも議論は百出することだろう。
いずれにせよ、紙の教科書への回帰、ないしはデジタル教科書への急進の歯止めが趣旨のように見えるが、背景にはデジタル教科書を廃止していく北欧の状況があるのだろう。スウェーデンで国際的な学力調査の成績が低迷していることを受けて見直しが始まったようだ。
デジタル教科書(つまりはタブレット学習など)イコール学力低下と単純に決めつけるものではないと思う。それよりも北欧諸国などが回帰したいのは紙ではなく基礎だろう。そして、まだ今の段階では、基礎学力や知識、技能の習得においてはデジタル教科書よりも紙の教科書が勝っているというだけに過ぎないとは思う。デジタル教科書が紙の教科書よりも基礎の習得に資するようになるときは来るかもしれないが、今はその時ではないということだろう。
この手の話題になると「紙の方がいい」という話になりがちだが、私自身は「必要性に応じて変化していけばいい」というスタンスでいる。今はまだ「紙優勢」と見るから紙の本を重視する。それは受験がいまだに手書きのペーパーテストだからだ。何もデジタルに変えろと言いたいわけではない。デジタルを用いた受験が主流になり、入学後の大学教育その他学習におけるあらゆる機関が、デジタル一本化になる日は遠からず来るかもしれない。デジタル教材に完全にシフトするのはそれがはっきりしてからでも遅くはなかろうと思っているだけだ。
現に塾教材も少しずつだがデジタル化の流れは来ている。市販教材であっても、数学のチャート式のように解説動画を二次元コードで提供する参考書が登場している。単純な「紙>デジタル」あるいはその逆、という二元論ではなく、これからの状況の移り変わりを冷静に見つめることが必要だと私自身は考えている。

