今まであまりお話しすることがなかった、勉強の仕方についてのお話を少ししてみようと思いました。
ただしそれは問題集選びやノートの作り方、単語の覚え方のコツのような表層のお話ではありません。
勉強の仕方
先にこれからお話する「勉強の仕方」について、定義というほど大げさではないですが何を指すのかをお話しておこうと思います。
私の言う勉強の仕方というのは、「授業などで勉強する際に何を考え、どのように手を動かすのか」という、文字通り「やり方」のことです。お子さんが学校や塾で授業を受けるとき、家庭や自習室などのように授業の場を離れたとき、できるお子さんはどういう風にしているのかを、できるだけ再現性が高い言い方でお伝えできればと思います。
最初の関門「授業の再現」
数学などがそうですが、まず最初は先生にやり方を教わるでしょう。黒板か電子黒板か、あるいは動画かはそれぞれですが、いずれにせよ「手順の説明」を聞きながら見ながら、順番に進めていって解き方は習うはずです。
まず最初に大事なのは、この「手順の説明」を忠実に順番通りに守って類題演習をすることです。学校でも塾でもそうですが、授業で説明を聞いた後には類題を解く時間が与えられることがほとんどでしょう。ここで先生の話などを脳内でリピートしながら再現しながら、問題を解きます。
そんな簡単なことかと思われるかもしれませんが、意外にこれができるお子さんは多くありません。多くのお子さんは授業を聞いているようで聞いていません。それはふざけているとかやる気がないというような話ではありません。耳で聞いているだけで理解していないのです。
授業の再現をしてみよう
例えば算数の計算などを考えてみましょう。低学年のうちでもできます。
「あめを3こもっています。お兄さんから2こもらいました。あめはなんこになりましたか。」
普通に考えたら3+2=5で答えは「5こ」ですね。
ここで再現のルートをお子さんに作らせることが大切です。文にしても伝わりにくいかもしれませんが、頑張って書いてみましょう。
初めに持っていたのは「3」個、お兄さんにもらった(増えた)のは「2」個、増えたから合わせて「+」、だから、3+2=5で答えは5個。
という風に、先生が教えてくれる「式」ではなく、その式になる「手順」を言葉にしながら式を作るのです。
同じようにすれば、
初めに持っていたクッキーが「10」枚、食べたのは「3」枚、食べた分は減った「ー」、だから残ったクッキーの枚数は10ー3=7で答えは7枚。
のように引き算でも応用できますし、これを数多く実践していくと四則の使い分けを身につけるきっかけにもできます。逆にここが欠けた状態ですと、なんでも足し算にしてしまって、この後引き算掛け算割り算が加わるとパニックに陥ってしまう子が続出してしまいます。
授業の再現の効果「理解ができる」
このように授業で教わったプロセスを言葉にしながら問題を解く、そういう経験が積めると、やや大上段な物言いになりますが、本物の理解ができるようになります。算数が解けるではなく、算数がわかる状態に近づいていきます。小学生ばかり例にとっていますが、この経験を様々な場面に応用していくことで、分数や小数が登場しようが、カッコつきの計算になろうが、割合を使った問題になろうが理解して使いこなせるようになるのです。
算数だけではありません。体育などの実技科目でも同じです。わかりやすいのはバスケットボールのドリブルなどだと思いますが、見ただけで分かったつもりになって、ただボールを上からたたくだけでドリブルになっていないお子さんがいます。ここで先生の教えてくれたことを頭で繰り返しながら実践できているお子さんだと、「跳ねてきたボールを手を引いて受け、下に押す」ドリブルができるようになります。そこにあるのは単に運動神経の良し悪しだけではありません。見ただけで理解していると錯覚するか、再現して理解してそれを体で表現する試みをしているかどうかの違いです。
ですから、運動があまり得意でないお子さんでも、理解がうまい場合は体育でもそこまでひどい成績にはなりません。中学生の場合はその理解をペーパーテストでぶつけられる分、むしろいい成績になることも珍しくはないのです。
塾での取り組み
私もできるだけ、新しく教えた内容は理解を伴うように演習させていきます。そのために大切なのは、決まった型とその際に「なぜその型を用いるのか」を言葉で伝える授業をすることです。詳しめの参考書にはこの手の「型」を吹き出しなども用いて伝えてくれていますが、理解するという意識のないままそれを読んでも宝の持ち腐れです。私としては、その一つ一つの教えについて、単なる知識の伝授ではなく、理解のための実践までつきっきりでカバーできる体制を作っています。


