試験が近づくと、入試でも定期試験でも「追い込み」というようになる。この「追い込み」というのは、自分自身を追い込むことだと思っている。
ではどうやって?
一つは自分への甘えを完全に捨て去ること。甘えというと聞こえはよくないが、要は「このくらいでいいか」という妥協をどこまでせずに行けるか、ということに他ならない。
追い込み方という題で、試験間際に向けた心構えを話したいところではあるが、まずは追い込みができるタイプについて考えてみたい。それはとりもなおさず、「小さい頃からどのように考えてきたか」が大きいと思っている。
「漢字のテストがありますよ」「算数のテストがありますよ」と予告されれば、何が何でも100点にしてやる、という幼少期を過ごしたか。「リコーダーのテストがありますよ」「鉄棒のテストがありますよ」と予告されれば、公園の鉄棒や家などで、できるようになるまで親を付き合わせて困らせてきたか。こういった経験を何度も続け、それがいつしか「当たり前」になっているかでその資質の大半は決まる。
もしこれができてこなかった中学生の保護者の方、もう絶望するしかないのかと思われるかもしれないが、今からでもその心が持てる可能性はゼロではない。ただし、それはもう親や周りの大人による働きかけでは持たせられないと思った方がいい。誰かが、何かが、その子にエポックメイキングとでもいうべき出来事をもたらしてくれることに賭けるしかない。
私もその「誰か」になれる可能性を信じ、木を植える植林のような気持ちで接し続けていく。
そして、その資質を目覚めさせてくれるかもしれない塾生は確かに目の前に存在しているはずだと思っている。