受験校選びについてある塾生と話していた時のこと、難しい高校に行くのと無理のないレベルの高校に行くのとどっちがいいのか、という話題でちょっとした議論になった。
むろん結論が出るような類の話題ではないのだが、私がした話は「人による」という意見だ。
偏差値の高い高校というのは、当たり前の話だが生徒の学力が高い。進学に向けた意識も高い生徒が多い。中学時代に上位にいたからといっても、入学した途端、成績は真ん中やそれ以下になることだって往々にしてある。しかも入試という関門をくぐった生徒たちの中での争いだから、少々の努力で順位が上がるほど甘い世界でもない。そのような状況にあって、「こんなにすごいやつらがいるのか、負けないぞ」と奮起できるタイプなのか、「頑張ってもダメだし、もういいや」となるタイプなのかでその先の高校生活、大学受験の結果は大きく分かれてしまう。
ではそこそこ安全に合格できる高校に行った場合はどうか。割合簡単に上位にいられる可能性は高くなる。今度は自分より学力が下(あくまでも入学時点の段階)の人が大多数になるわけだから、それはそうなるだろう。その中で自分の位置をキープしていけることで進学まで乗り切れる可能性はある。ただ一方で、周りに流され、周りに合わせた生活をしているうちにその「下」のレベルに自分から降りて行ってしまうと進学は悲惨なことになる。入学時点では下だったかもしれない人たちに追い抜かれることも十分ありうる。そこで腐ってしまって負のスパイラルにはまる可能性もあるのだ。
これらの考えうる様々の状況の中にあって、自分ならどうするか、ここに対する考え方や感じ方が人によって異なるという点から、あの時私は「人による」という答えをした。
ただ、人によるという答えをいったん無視し、私の主観のみで考えるならば、私は「行きたい高校に行く」、「行きたい高校を目指す」この一点に尽きると思っている。偏差値の高い低いが問題なのではなく、行きたい高校でなければどのみち頑張れないと思っているのだ。進学校で落ちこぼれる生徒というのはどこでも一定の割合で存在する。そこにあるのは能力の問題もあるのかもしれないが、結局は「自分が行きたくて、頑張って合格した高校なのだから頑張ろう」という考えの有り無しにかかっているのだと思っている。そこさえ芯が通っていれば、やれ目先の順位がどうだ、自分よりできるやつがどうだなんて何にも関係なくなると思うのだが。
今度塾生と話す機会があれば、そのことをもう一度しっかり話してあげようと思っている。