前回まで、数字の見方と題して内申点、学力試験、模試についてお話してきました。
ここでは模試からわかる数字データについてお話ししましょう。
模試からわかる数字データ
模試を受験した経験がある方ならわかるかと思いますが、模試や学力テストを受けると、このようなデータが成績表に記載されます。
①得点(科目ごと、合計点)、平均点、得点分布などの点数に関するデータ
②順位(全体、県内(学区内)、市内、校内、塾内など)
③偏差値
④志望校合格可能性判定
他にもいろいろありますが、今回はこのうち①~④のデータについて、見方をお話しします。
①点数に関するデータ
こちらに関しては数字の通りです。特に模試の場合、各教科の小問ごとに得点データを載せてくれるので、平均点からの離れ具合などをみて、得意な部分、苦手な部分の把握に役立てましょう。
次に全体の平均点についてですが、多くの模試では平均点が60点弱くらいになるように調整して問題を作ることが多いです。例えば上位校を狙うなら80点以上を目指そうであったり、得意科目と苦手科目でならして平均点になるように目指そう、など志望校のレベルとの兼ね合いで目標を定める目安にするといいでしょう。後で詳しく触れますが、平均点ピッタリの場合、偏差値は50です。
②順位
ここについてはそこまで気にすることはないでしょう。志望校も地域もバラバラな中での順位ですので、高かったらうれしい、低かったらもっと頑張ろう、といったモチベーションへの働きかけの材料にする程度でいいと思います。
ただし、一つだけ注意してみておく順位があります。同じ志望校を書いた生徒内の順位です。受験生全員が同じ模試を受験しているわけではないので参考程度ではありますが、同じ志望校を書いている生徒内の中の立ち位置がわかるのは貴重な経験です。
③偏差値
以前、偏差値についてはお話したことがありますが、ここではもう少し詳しい見方をお話しします。
まず、前提としてですが、偏差値は母集団(模試を受験した人たちの層)によって変動します。模試の偏差値というのは、「模試を受けた人たちの平均点や得点分布によって決まる」からです。特に公立高校受験を対象とした模試の場合、受験するのは同じ県内や学区内の生徒だけです。この模試で出た偏差値がどこにでも通用する偏差値だとは思わないようにしましょう。
ただ、偏差値は「学力レベル」をある程度数値化したものであるという側面は否定できないと思います。事実、偏差値が高い高校ほど大学進学実績は優秀です。大学の付属校であっても、系列の大学の偏差値が高い学校ほど、高校の偏差値も高いのが事実です。偏差値を得点のデータだけでなく、「学校のレベル、難易度」であると考えてみるのも一つの見方ではないかと思います。勉強をしていて「より高い偏差値の学校へ」というとネガティブなイメージを持たれるかもしれませんが、ゲームをしていて「より高いレベルのステージでプレイしたい」と考えるのと大差はないと個人的には思います。
④合格可能性判定
模試を受ける際、志望校を記入し、合格可能性を判定してもらうことができます。ほとんどの模試では、合格可能性をAからEの5段階で判定します。模試会社によって若干基準は異なりますが、おおむね以下の通りになります。
A判定:合格可能性80%以上(安全圏)
B判定:合格可能性60~80%(合格圏)
C判定:合格可能性40~60%
D判定:合格可能性20~40%
E判定:合格可能性20%未満
公立高校入試の場合、これに加えて内申点を加味して判定もしてもらえます。
この合格可能性判定の見方ですが高校入試の場合、ざっくり言ってB判定以上なければ受験はお勧めできません。これは大学入試や中学入試と違う、高校入試(特に公立)独特の特徴が関係しています。
公立高校の場合、入試倍率はおおむね1~1.3倍くらいです。中学入試や大学入試と比べると低いと感じるかもしれませんが、ここには大きな前提が隠れています。それは、「出願するのは合格可能性が十分にある人たちだけ」という前提です。高校入試は「落ちると行き場所がなくなる」という受験ですし、大学受験のように何校も併願することもできません。そうすると、出願の段階で「無理な受験をして落ちるリスクが取れない」という判断にならざるを得ないので「安全な出願」を選んでしまいます。その結果として、倍率が上がらないのです。
極端な言い方をしてしまうと、「出願者の中にC判定以下の人なんていない」ことになるのです。加えて内申点を事前に持ったうえでの受験になることから、試験一つで逆転することが難しいのも合わさって、公立高校入試は高判定でなければ受験できない傾向が強まります。
まとめ
今回は模試データについてお話ししました。
勉強の目安としての「点数」
進学先高校の学力レベル目安としての「偏差値」
合格のために必要な目安の見極めとなる「判定」
これらを正しく見つめることが学力アップ、合格に不可欠になります。ただのテストとしてではなく、模試を活用するために意識してほしいですね。
これで進学の数字に関するお話はいったん終わります。