親は子の鏡?「ハズレ親」

面談で大切にしていることー親御さんを見ることー

当塾では、体験授業をご希望いただいた方全員に、必ず事前に面談をさせていただきます。

面談をする目的はいろいろあるのですが、私の場合、おおむね次の3つを目的としています。

①お子さんの現状把握(成績、苦手科目、得意科目、希望進路その他の学習状況)

②当塾(というよりも私個人(笑))の紹介、説明

③どんなお子さんか、親御さんかを直接見る

どれも大切な目的なのですが、特に3つ目のどんな親御さんか(平日にご来塾いただいているのでたいていはお母さんですが)は大切にしています。

今日はこの点についてお話ししましょう。

なぜ親御さんを見るのが大切だと考えるのか

いきなり悪い言い方ですが、伸びそうな子かどうかを判断するためです。

親御さんを見ていると「この子は伸びないかも・・・」「今は厳しいが、時間をかければ伸ばせるかも」「ああ、いい育ち方しているな、きっと伸びるな」というのが見えてくるものです。

世間では「親ガチャ」という言葉があるようです。

たいていは親の収入や社会的地位などを基準として、ゲーム等におけるガチャの「アタリ、ハズレ」になぞらえるようですが、私はそう言った収入などの観点はいったん無視して、「ちゃんと子供を育てていない、見ていない親」のことを「ハズレ」と考えています。

話題を元に戻すと、この「ハズレ親」ではないかどうかを私は見ようとします。

では、ここでは私の見る「ハズレ親」の傾向を少しご紹介しましょう。

①バランス感覚を欠いている

「厳しすぎる」「甘すぎる」「よい面しか見ない」「悪い面しか見ない」など、客観的、多面的な見方や接し方をしていない、と思われる親御さんは注意しています。

当たり前の話ですが、お子さんはそれぞれ個性があります。能力や性格だって凸凹です。

成績は悪いから何とかしないといけないけど、学校には毎日楽しく通うんです」

算数が全然できなくて心配なんですけど、歴史が大好きで大河ドラマの時間になると必ずテレビの前が定位置なんです」

正義感が強い子なんですけど、あまりに一本気過ぎたら大人になった時に心配です」

こんなふうに良い評価悪い評価が常に同居している親御さんの場合、お子さんはよく伸びる傾向がみられることが多いように思います。

誰よりもお子さんを愛しているからこそ、「いいことも話したい」し、「恥ずかしいけれども悪いところも伝えなければならない」と両面からお子さんのことを考えていらっしゃるのだと思いますし、お子さんにも両面から接しておられるのだと思います。

「ハズレ親」にはこの部分が欠けていることが多いと思っています。

ゲームばっかりしているから、毎日勉強しろ、と怒ってばかり

情けない成績ばっかりで、家で私(母)はいらいらしてばっかりで・・・」

こんな毎日だったら、私が息子ならグレます。

本当は優しい子だし、学校は休まずに行ってますし、あまり怒らないようにしてますし・・・」

私が息子だったら、自分の苦手な部分に目を背けて甘えまくります。

②親御さん自身についての反省がない

お話を聞いていく中で、「あ、これはヤバいかも・・・」と思うのが、これです。

簡単に言うと、「成績面など、お子さんの困っている部分の原因が親である自分にはないと思っている、もしくは自分にもあるのではないか、という自覚がない」パターンです。

小学生であれ中学生であれ(あるいは高校生であっても)、生徒さんは未成年の子供です。その子供さんが、勉強であれ何であれ問題を抱えているのだとすれば、「親にも問題があるのでは・・・」と考えるのは当然のはずです。

最近、共通テスト会場の東京大学で高校生が受験生たちに切りつける、といういたましい事件が起こりました。こういう少年事件が起こるとよく聞かれる声というのは、本人への非難はもちろんのこととして、「親はどんな教育(あるいは子育て)してたの?」「どんな親なの?」というものです。犯罪まで行くのはよっぽどですが、子供の起こした問題には必ずと言っていいほど親がセットで語られます。

勉強に話を戻すと、お子さんの成績向上には、一人一人違った道筋があります。その中には、①お子さんだけが取り組むべき内容もあれば、②親御さんに改めてもらわなければならない内容もあります。

この②の部分をお伝えするには、心苦しいですが、親御さんに苦言を呈する覚悟が私にも必要になります。私はなかなかウソやおべっかが言えないので、正直に言ってしまうことが多いですが、やっぱり微妙な表情をなさったり、悲しまれる方が多いです。

それでも、この部分を受け止めて受け入れてくださる方(100%納得するのは無理だと思いますが、少しでも受け入れようとしてくださる方)の場合、お子さんは伸びる傾向があります。

というよりも正直なところ、こういう親御さんの場合、私が苦言を呈するより前に「私(親)は何をしてあげればいいのか」「私のやり方って間違ってますかね?」「私の力では〇〇なので・・・」など、親御さん自身の方から「自分を変えよう、自分も変わろう、それでも難しいかもしれないから塾に頼ろう」という意志を示してくださいます。

これができない方、お子さんが成績その他で問題を抱えているはずなのに、「私は間違ってない」で100%押し通される方だと、正直難しいと思います。

待っているのは、耳に心地よいお話ばかりたくさんしてくれるところにコロッと流されるオチです。

③「子供の自主性」という言葉に逃げがち

最後はこのパターンです。これは主として中学生以下のお子さんの場合です。

懇談でよく聞くセリフです。将来の目標や行きたい高校、大学などについてお尋ねしたときに、

「子供に任せていますので・・・」

この言葉、私は意味を次の二通りに分けて聞いています。

①お子さんに確固たる目標があるから、親としてはとやかく言うことがない

②お子さんの将来を一緒に考える、という仕事からの逃げ口上

①であったら、何の問題もありません。「目標に向かって頑張れ!」の一言で終了です。

問題は②です。

正直なところ、この②は一発でわかります。

お子さん本人に聞いてみればいいんです。

「特にやりたいことはない」「将来ってよくわからない」

こんなセリフがお子さんから返ってくるのに、「子供に任せています」なんて言っている親の場合、②のパターンの可能性が濃厚だ、と私は判断します。

結局のところ、「お子さんの自主性」という聞こえのいい言葉に逃げて、問題を先送りしているにすぎません。

乱暴な言い方ですが、現在自主性のないお子さんに自主性を期待するなんて、矛盾以外の何物でもないと思います。「今はなくても、いつかは目標を見つけるかもしれないじゃないか」と言われるかもしれませんが、そういう「いつか目標を見つけられるお子さん」って何か興味あるもの(勉強に限らず)を現在持っているはずです。それもなくてぼーっと日々を過ごしているようなお子さんだったら、自主性を期待せずに一緒に考えてあげるなり、興味を持ちそうなものを見せるなりした方がいいと思います。

最後に

いろいろお話ししましたが、一言でまとめると、冒頭にお話しした「お子さんのことを真剣に考えていない、見ていない」と思われる親御さんの場合、お子さんの成績を伸ばすのは、学習塾であっても非常に難しくなります。

「お金があるかどうか」「社会的地位が高いかどうか」ということが親ガチャだとは思いませんが、この一点だけは間違いない、と私は確信しています。

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