私は教室の備品、コピー用紙やペンなどいろいろなものを買うのに、アスクルという会社にお世話になっている。
そのアスクルが10月の終わりごろにランサムウェア攻撃に会い、サービスを停止してしまった。
コピー用紙などは普段から多めにキープしていることと、塾生が少ないせいもあって普段から使う量も少なかったので、幸か不幸か影響を受けることはなかった。若干悲しいエピソードだが。
そのアスクルが完全とは言わないまでも復旧を果たした。こちらとしても一安心のニュースだった。
ここで考えたいのは、アスクルそのものの話ではない。期限に対する意識だ。
いつ復旧するんだろうと考えて、ちょくちょくアスクルのサイトは見ていた。11月の下旬ごろだったと思うが、その前からアスクルは復旧フェーズを何段階かに分け、12月の第一週に復旧予定とリリースを出した。もちろん、復旧の見込みなどから計算してこのくらいのタイミングに再開できるだろうと見込んで出したものに違いはないだろうが、実際の復旧は水曜日だった。金曜までに戻るのかな、と思っていた利用者(私を含め)にとっては嬉しい知らせだろう。
もちろん一日も早くサービスを再開せねば、会社は大打撃が止まらないから、復旧を急いだことと思うが、何度も言うがここで考えたいのはアスクルそのもののことではない。
12月の第一週と言われると、多くの人は金曜日までにと考えるのではないだろうか。金曜までに何とか出来ればいいか、と考えるのではないだろうか。そしてここからが本題だが、この意識は成績に如実に表れる。
先月に、多くの学校が国語で古典の暗誦テストがあったようだ。期限は2週間と言われ、それまでに国語の先生を捕まえてテストをして合格をもらう形式だったらしい。ある子は早い段階で覚え、塾でも妻相手に確認を何度もし、スタートまでに準備完了してしまった。そのせいでテスト開始前にフライングで先生に突撃し、「まだ待って」と言われてしまったというほほえましい一幕もあったようだが。
塾生でない他の子のことは知らないが、これが「じゃあ2週間後の金曜までに言えればいいか」となる子は多いのではないだろうか。そして、えてしてそういう子ほど間に合わないことが多いのではないか。
これが私の言いたい、期限に対する考え方だ。期限を指定された後、あるいは自主的に指定することもあるだろうか、その期限が目の前に現れた瞬間、期限の一番最後を考える子で、伸びた子はあまり見かけなかった。仮に期限が来週の金曜日と指定されると、瞬時に「木曜日に準備して金曜日に出す」ことを考えるタイプだからだ。
逆にできる子ほど、期限を指定して「よーいスタート」となった瞬間から準備が始まる。前述の塾生の場合は、国語の先生が予告してこられた段階から準備が始まっている。
今般、期末試験で自己ベスト超えを果たした塾生がいる。中間試験がふるわなかったのがこたえたのだろう、苦手で嫌いな社会のワークを学校授業後すぐに始めるようになっていた。「〇〇ちゃん、もうワークやってんの?学校の宿題?」と聞くと、「どうせ期末試験で提出になるから早めにやる」と答える。「へー、だれか言ってくれたん?学校の先生?」とさらに聞くと、無言で私を指さしてきた。「へ?俺?」と情けない声を出してしまった。そういえば、中間試験終わりぐらいに軽く「早めにやっといたら後で楽やん」くらいのことは言ったかもしれない。ふるわなかった結果から反省してのことだろう、私が言ったことを取り入れようとしてくれたようだ。しかも副産物として、やりっぱなしにはならなかった。試験直前の時期になると、ワークのページを折り曲げながら何度も確認していた。ルーズリーフに答えを書き、確認の丸付けをしていたが、丸だらけになっていた。むろん試験の結果も良好だった。
最後のエピソードは期限そのものに結びつくものではないかもしれないが、結局高得点者、伸びる子、強い子というのは早めにこなすことに対する意識が鋭敏だ。早く準備すればいい結果につながるのは何も勉強に限らない。生きていくうえで強い武器になる。

