急に気温が下がり、寒さを感じるような日が続き始めている。
この時期に限らないが、季節の変わり目は、体が慣れていない、衣替えがうまくいかないなど、様々な要因で体調を崩しやすい時期になる。
体調不良にひっかけた話になるのだが、最近は「体調不良で休みます」が多くなっているように思う。
コロナ禍の影響で、「少しの体調不良、発熱でも休んでくれ」と言われるようになった影響かもしれないが、学校でも体調不良で休むハードルがずいぶん下がったように見受けられる。塾でもそうで、微熱であっても「来るな」で対応せざるを得なかった。
ただ、やはり思うのだが、「体調不良で休みます」はよくない。
もちろん、体が動かないような高熱や重症にもかかわらず「這ってでも行け」などというつもりはない。それは精神論を通り越したブラック企業のような所業だ。ただ、私が言いたいのは、少しの体のだるさであっても「体調不良」という、なにやらいろんなものを包み込んでしまえるような方便で片づけてしまうのは、子供の成長に悪影響しか及ぼさない、ということに尽きる。重症なら「コロナで陽性だった」や、「インフルエンザになった」など、具体的な病名が言えるはずだ。「頭が痛くて吐いている」や、「腹痛でトイレから出られない」など、具体的な症状が言えるはずだ。それらをすべてぼやかしたような「体調不良」という言い方はどうも好きになれない。
今、ひとりの中3生がいる。1年生、2年生と成績が振るわない時期が長く続いたが、その頃は月に2,3回は「体調不良で休みます」だった。いま、1学期から2学期にかけて目覚ましい伸びを見せているが、よく思い返してみると3年生になってからは、休むことがずいぶん少なくなった。急に体質が変わったわけでもあるまい。精神的に強くなったのだと思う。小テスト前などに打ち込む姿もたくましく思えるようになった。
いささかブラック企業じみた言い方で恐縮だが、少々の体調不良なら跳ね返す勢いで、勉強でもなんでも打ち込む覚悟と強さがなければ、成績なんぞ伸びはしない。強い人間とは程遠い。自分に勝つことができるような精神力が養われていないからだ。
今の自分の殻を破り、もう一つ上の自分に到達するためには、目の前の科目の勉強も大事だが、自分で自分に打ち勝つ心の強さが必要だ。少々疲れた程度の体調不良であれば、多少の無理は覚悟しなくてはいけない。これしきのことであっても「そんなブラック企業みたいなこと言って」と思われるのであれば、今の自分のままでいればいい。
念のため補足するが、動けないような体調不良や、インフルエンザのようなときは、絶対に学校にも塾にも来てはいけない。「何があっても這ってでも行け、または来い」と言っているのではない。
強い心を育てるため、強い人間になってほしいため、強い精神の種まきを今日も続けなくてはいけない。