中学数学などは方程式でこの段階に入っているのだが、解答において答えや計算だけではなく、立式や答えの吟味などの過程が必要になってくる。
ただ、やはり伸び悩みがちな生徒の答え方は依然として、メモ書きのような計算、答えがあってればOKと言わんばかりの答えの様子が見える。
式や証明などの、いわゆる解答の導出過程は、問題への取り組み方の一つである、解答に至る経緯や考えなくてはならないことの言語化という要素を含む。ここがわかればこの値が求められる、そうすればこの点の座標がわかる、そうすればこの線分の長さが出て、という具合だ。そこを頭で考えるだけでできる、というのであれば優秀であるかもしれないが、そういう人は一握り。多くの学生は、その部分を言語化して書き出すことで整理しながら理解することが必要なのだ。
もう一つ言うなら、その過程は相手に伝える必要がある。なぜそうなるのか、どのように考えたのか、目の前に相手がいない状況で、紙の上で相手に伝えるためには、過程を記述して、必要な情報を余すことなく、それでいて余計な字句を並べずに簡潔に伝える技術が必要になる。これは勉強や学問の話だけではないはずだ。
式を丁寧に書きなさい、とは親であれ学校の先生であれ塾であれ、だれもが子供たちに指導する内容である。その意義というものも改めて我々には伝える必要があるのだと、私は今日も塾生たちの書く式や説明に目を配りながら考えている。