医学の世界には、西洋医学と東洋医学がある。
端的に言うと、西洋医学は「病気や症状に直接的にアプローチする医学」、手術や薬を用いて病原菌や病巣、病気になっている場所に直接働きかけていくスタイルだ。
対する東洋医学は「病気の自然治癒力を作る、病気になりにくい体を作る医学」。漢方や鍼灸を用いて体質そのものを改善していくスタイルだ。
勉強にも同じようなアプローチはあると思っている。
苦手な部分にフォーカスして勉強する、指導する西洋医学的スタンスと、思考訓練や理解を重視して、「勉強する力」そのものを作る東洋医学的スタンスだ。
これはどちらがいい、というものではないと思っている。
その時々に応じて、どのアプローチが適切かを考えていくことが大切だ。
どちらが優れているかではなく、タイミングに合わせてバランスよくアプローチを変えていかなくてはいけない。
「勉強する力」というと、東洋医学的スタンスの方がいいように聞こえるかもしれないが、定期テストや入試の直前にそんな迂遠な方法はとれない。
病気で言うと、急病で救急車で担ぎ込まれるような一刻を争う患者に、漢方やハリ治療で体の中から治そうとしても、その前に患者は死んでしまう。テスト前の切羽詰まった場面では、苦手な分野に直接アプローチする勉強が必要だ。
一方で普段から病気になりやすい人にその都度病気に効く薬を処方し続けても、根本的に健康体を作ることは難しい。毎回毎回テスト前になるたびに急病人のようにその場を切り抜ける治療を繰り返しても、学力は完成しない。
私も、両方のアプローチ法をバランスよく組み込んでいける指導を日々目指していきたい。