「基礎」と「人事を尽くして天命を待つ」

日々の考えあれこれ

少し自分自身の受験生の思い出を。

当時高校3年生の私は、数学が死ぬほど苦手だった。説明を聞こうが、質問をしようが、参考書を読もうが、「何を言っているのかわからない」の一言で終わってしまうありさまだった。

それでも国立文系ということで、センター試験(当時、今の共通テスト)でも二次試験でも数学は必要だ。文系であるにもかかわらず、私の高3での受験勉強の時間は、半分以上が数学に消えていった。

センター試験を翌月に控えた12月ごろ、基礎問題集を1冊買い、それをしこたま解きまくった。すると不思議なもので、それまでバラバラだった知識がひとつにまとまり始めていく。気が付くとそれまで頭をいくらひねっても出なかった答えが出るようになるのだ。

ところが年末、高熱にうなされるようになった。年末なので病院には行かなかったのだが、たぶんインフルエンザだったのだろう。正月に祖母宅に行くのもやめ、家で寝ていたのだが、風邪薬の解熱剤が恐ろしいほどに効き(私が解熱剤アレルギーのせい)、滝のように汗が出たと思うと瞬く間に平熱に戻った。バカな私は「やった!治った!」とばかりに布団の上に座卓を置き、勉強を始めだした。帰ってきた母に「何やってんねん!」と叱られたのは言うまでもない。

やがてセンター試験を迎えた。数学は数学1Aから始まるのだが、これが面白いように解ける。後半の難問はさすがに届かなかったが過去最高の手ごたえに手が震えた。そして苦手の数学2B。当時数学B(今は数学C)の複素数平面の問題だった。時間が足りない。もう残り一分を切っている。そこで最後の問題で何も考えずに2√3ー1(細かい数字は覚えていない、適当な数字という意味)のような数を適当にマークしたら、翌日の新聞で正解だったと知り、またもや手が震えた。

結果、それまでセンター模試のようなものでも1A2B合計130点もめったに取れなかった数学で160点をマーク。大したことのない点数とは思うが、模試を含めて自己最高記録。文系科目はもとから得意だったので高得点が取れており、余裕を持って二次試験に臨めた。

長くなったがここから振り返って、今の自分に課している教訓と、塾生に伝えたい教訓の話。ふたつある。

一つは、基礎の徹底。基礎の重要性に気づけなかった当時の自分の不明に恥じ入るばかりだが、身をもって得た「基礎の大切さ」こそ、自分の失敗の苦い思い出とともに伝え続けたい。

もう一つは、「人事を尽くして天命を待つ」ということ。最後のでたらめな答えが正解になったことだ。インフルエンザになりながら勉強することなんて勧めるつもりは全くないし、そもそも受験前の大切な時期に、インフルエンザにならないよう気を付けて生活していなかった私が悪いのは言うまでもない。

それでも、死に物狂いでなんとかしようとしたあの日の私に対して、受験の神様は見ていてくれたのではないか、と今も思っている。人事を尽くして天命を待つ。至らない自分であっても、限界までできることを続けていれば、何かしら結果は出るということをこれからも伝えたい。

その先に必ず、彼ら彼女ら一人一人にとっての正解が待っているはずだから。

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