まだ今年を振り返るような時期ではないが、去年から今年は特に、政治の世界で「保守」という言葉がいつにもまして踊ったように思う。都議会や参議院選挙における参政党などの躍進、高市自民党総裁の誕生などがそうだ。
こんな話から入っているが、私が考えたいのは政治の話ではない。保守という考え方だ。それも政治イデオロギーとしての保守主義という話でもない。
教育の世界も大きく様変わりを続けている。予備校などによる映像授業の導入に始まり、タブレットなどの導入、AIを用いた教育システムなど。私もよくその手の売り込みの営業電話を受けることがある。
これら新しいシステムを否定する意図は毛頭ない。効果的に使用すれば、高いパフォーマンスを発揮するのだろう、というのは営業トークを聞かずともわかる。
ただ、教育業界に限った話ではないのかもしれないが、ものごとを進めるうえでは、守るべきものと改めるべきものの両面を考えなくてはいけないと思うのが、私の考え方だ。保守と革新の両方がありえる、ということだ。
かつて評論家の西部邁さん(故人)が、インターネット番組で「何かを守るために、現状に問題があれば改めるという、『保守的革命論』は成り立つと思う」という趣旨の話をしていたのを聞いた。
私も同感だ。何が何でも昔のものを守る、という偏った保守の姿勢はどうかと思うし、一方で従来のものを旧弊として打破することにのみ血道を上げる、何でもかんでも革新主義的考えも問題だと思う。大切なのは、保守すべきものを考え、そのために必要な改革は厭うことなく行わねばならないことにある。
話が大きくなりすぎそうなのでここまでで止めるが、私も「守らなくてはいけないもの」を定め、そのために必要なことは改めることに躊躇はしてはいけないと思っている。
私の、塾を続けるうえでの「守るべきもの」とは?
もちろん、勉強を通じて子供たちに強い人間になってもらうことだ。