昨日の中学生は、模試の問題などを使用しての練習が中心。模試対策というのは本来あまり意味のないものだと思っているが、私の中に意図しているのは「試験慣れ」だ。
もちろん中学3年生など、今までに何度も定期テストを受けているのだから、今更試験慣れと言われても、と思われるかもしれない。私が考えているのは、入試本番を意識した試験慣れのことだ。
模試の場合、中1や中2生向けのものはそこまでではないが、中3生向けの公立高校模試は公立高校の入試問題と同じ体裁(範囲はもちろん違うが)で作られている。形式をつかむことができるのだ。
日常の勉強で重ねた知識や解法が、どういう風に実戦において使われなければならないか、緊張感の中、問題用紙を開けたときに目の前に飛び込んでくる試験問題の形式、体裁をつかんでおくという、精神的な落ち着きをもつ、そういう効果を見込んでの指導である。
それを繰り返すと、見えてくるものがある。自分が受ける高校のレベルなら、どの問題が解けていなくてはいけないのか、言葉は悪いが「捨てる」問題や「時間をかけべき」問題の峻別ができる。戦略の青写真を少しづつ描くことができるようになるのだ。
中1、中2生の模試は、公立高校には準じない一般的な実力テストとしての模試だ。そうであっても、今までの業者が一般的な入試などに模した問題は、定期テストでも解く機会が少ない。受験への意識付けや、私立公立を問わない、入試問題というべきものの像を、ぼんやりとしたものであってもつかんでもらいたい。それこそが「模擬」試験の意義だ。
「敵を知り、己を知れば、百戦して危うからず」とは孫子の兵法だが、己を知る機会は日常学習の中でたくさん与えられるが、敵を知る機会はそれに比べてどうしても少なくなる。このような模試という機会は、ぜひ敵を知る機会として、塾生たちの血肉にさせたい。