高校受験の変貌その2(私立の無償化)

日々の考えあれこれ

昨日の日記に続く形で、高校受験をめぐる大きな変化が、私立高校の無償化にあると思っている。

政治的な話はここではせず、受験そのものを見渡した話をしたい。

私立が無償化された大阪府では、公立高校の定員割れが増えたとニュースになった。私立の方が設備その他、教育環境が整っているから、と考える層が私立に流れたからだと思われているし、私もそうだと思っている。

今般この流れは全国にも波及しそうで、私立の無償化が全国的になっていきそうなのだが、こうなると何が起こるのか。私は「私立、公立含めた高校全体のレベルダウン」だと思っている。

やや話が飛ぶが、最近は一部のトップ校を除き、私立中学もレベルダウンが起きているらしい。実名は出さないが、首尾よく中堅以上の私立中に合格したにもかかわらず、家庭教師をつけて必死に学校に食らいつき、そこまでして狙う大学は神戸大学、という人の話を聞いたことがある。もちろんその教育方針を否定はしないし、神戸大学だって簡単に入れる大学ではないと思うが、そもそもその中学校、我々の時代(30年くらい前)だったら「入学者の半分くらいが京大志望」という学校だったと記憶している。かくも私立中はパワーが落ちているのか、と感じさせられる話だった。

なぜそうなったかというと、まずは中学受験がここ20年くらいだろうか、活発化したことが大きい。そこに来て、各私立校が特進クラスなどのクラス設定を連発した。その結果、ただでさえ多くない優秀な中学受験生は分散し、各校ともレベルが下がってしまったのだろう。

おそらくだが、高校受験界隈でも、こういうことはこれから起きるような気がする。まずは私立人気で公立から人が流れ、公立校のレベルが落ちる。もともと少子化で高校生の数が年々減っている中、私立に流れた子たちのレベルが上がるわけでもなく、優秀層を取り込めない私立校は、生徒不足の状態から延命こそすれレベルアップはしないだろう。

それに、私立の入試であっても、専願で内申点などがある程度整っていれば(高校側が要求する水準に達していれば)、合格はほぼ間違いない。「さっさと進学先が決まる」というメリットと呼んでいいのかどうかわからないメリットに飛びつく層も激増するだろう。そこには「教育環境が充実している」云々の動機づけなぞ雲散霧消しているに違いない。言葉は悪いのだが、そういう層ほど無償化した私立に飛びついていると私は見ている。

もう一つ大事なことがある。それは、「私立は公立よりも受験が早い」こと。大阪はいざ知らず、兵庫の場合、私立の合格発表と公立の入試までには、1か月の時間差がある。悲しいことだが、私立で早く合格を決めた子は、そのあと遊ぶだろう。公立を受ける子が受験勉強を必死にしている間にだ。私立もそのことは分かっているから、事前課題を配布するなどして、勉強時間を取らせようとはするのだろうが、申し訳ないが中堅以下の高校に進む子たちにとっては、そんなもの焼け石に水だ。答えを写したりして適当に済ませ、あとは遊び放題になるのがおちだ。無償化で私立人気が高まることというのは、イコールこういう「入学前に勉強習慣をなくす子」が量産される結果にしかならないような気がする。

高校がこのような状況になると待っているのは何か。明日また考えてみたい。

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