インフルエンザが猛威を振るっている。
近隣の中学校では1年生がほぼ全滅(学級閉鎖という意味)、他学年や他の中学校の塾生もインフルエンザに感染する者が出始めた。受験シーズンまでまだ時間があるのがせめてもの救いか。
体調管理は大事とは言うものの、流行性の病気から逃げるのはなかなか困難だ。
今日は少し昔話。当時通っていた高校の同級生の話だ。
彼はセンター試験(当時)の当日、インフルエンザにかかってしまった。席が近かった(センター試験、共通テストは高校単位で申し込まれるため、現役生の場合ほぼ出席番号順に座ることになる)のだが、彼の顔が真っ青で、昼食の弁当がタッパーに詰められたうどんだった光景を思い出す。
「気の毒に」私はそう思いながらたまに「大丈夫?」と声をかけるしかできなかった。私も受験生だから自分のことで精いっぱいだった。
その後、彼に会うことはなかった。センター試験が終わると授業はもうないので、卒業式のときくらいしか通学することはなかった。
しかし、彼とはのちに再開した。大学の入学式でだ。彼も合格していたのだ。「すげえ!」と思いながら駅から出てくる彼に声をかけたことを思い出す。
彼本人に当時の話を聞く機会はなかった。通っていた学部も違うので、会うこともやがてなくなっていった。だが、これは確信を持って言える。彼は普段からずっと努力していたのだと思う。インフルエンザという最悪の体調不良にあっても問題が解けるくらいに。ゆるぎない力を育み続けていたのだろう。今でも彼のことは「すげえ!」と思っている。
翻って受験生諸君へ。受験は何が起こるかわからない。予期せぬ体調不良や病気に襲われる可能性は絶対にゼロにはできない。昨年も直前に気管支炎を患い、話すこともままならなかった生徒が作文も面接もクリアして推薦入試に合格した。直前まで作文や面接の中身を練り上げ続ける努力を絶やさなかったからだ。ゆるがない力を最後までつけ続けよう。それを人は「底力」と呼ぶ。その力を最後まで高めよう。そのために私たちがいる。