言ってもわかってもらえない、という場面は多いと思う。
「勉強しておかないと後で大変だよ」「遊んでばかりだと後で大変だよ」と口を酸っぱくして言ってきて、それでもわかってもらえない、というのは多くの親子間で起こることだ。
ただ、一つだけ勘違いがある。
子供たちはわかっている。理解できていないわけではない。
そこにあるのは「わかりたくない」気持ちだ。
言葉が通じる子であれば、「勉強した方がいい」「頑張った方がいい」というのは理解くらいできる。
それでも「わかってくれない」となるのは、子どもたちは「わかりたくない」からに他ならない。
この段階になっていると、いくら言葉を尽くしたところで「わからせる」ことは不可能だ。
「わかりたくない」のだから。
ここまでは子供の話だが、なに私もそう、皆さんもそう、人間「わかりたくないものはいくら説かれてもわからない」のだ。たとえそれが万人に共通する正論であったとしても。「恋は盲目」なんてその典型例ではないか。
ではどうするがいいか、という話になろう。
まずは「わからせる」ということを頭から捨て去るべきだろう。
どうしても言い続けたいのなら、「いつかわかってくれればいい」「わかってくれなくてもそれはそれで仕方ない」という頭の切り替えが必要だと思う。
いずれ考えがまとまれば書きたいが、「わからせる」というこちらの課題を切り離し、「わからなければいけないのは本人だ」という、相手の課題へと転化してしまうことが必要だと思う。
私は塾講師という仕事柄、言い続ける必要があるが、特に家庭においては、課題を分離して考えるべきだ。でないと家の中も楽しくあるまい。
迂遠なようだが、学業が充実する子はおおむね家庭円満なところが多いように思う。
そして、知ってか知らずか、この「子の課題は子の課題、親の課題じゃない」という考えがうまいこと貫かれているように思う。