新学年も授業が本格的にスタートする時期になります。
新しい学習を控え、英語について突っ込んだお話を展開したいと思います。
英語は大切
これは何も、「国際化社会が・・・」や「英語力が・・・」というようなお話ではありません。
英語は「学力の根本」に近い、という趣旨のお話です。
なぜなのか。
英語が得意な人は、総じて勉強が得意な人が多いです。
ここでいう英語というのは、あくまでも「教科としての英語」であり、「英会話」ではありません。
なぜ英語が得意な人は、勉強が得意なことが多いのか。
英語には勉強のエッセンスが詰まっている
英語を勉強する、と一言で言っても、その中身は様々な要素がてんこ盛りです。
「英単語、熟語の暗記」、「英文法の学習」、「英文解釈、読解」、「長文読解」、「英作文」、「リスニング」、「スピーキング」・・・。
これらひとつひとつの要素が勉強のエッセンスになっているのが、英語という科目です。
英単語・熟語
英単語・熟語には「単純な暗記」だけでなく、unやinがついていれば「反対・打消」、istがついていれば「~の専門家」というように、法則や決まり事に気づく能力も養えます。
膨大な暗記の中から法則性を発見すること、その法則性を応用して効率よく単語を習得する力は学力の大事な要素といっていいと思います。
英文法
これは、単語や熟語よりも法則性、決まりごとに特化した勉強が必要です。
「『~しているところです』は現在進行形で、be動詞に~ing」のように、単に訳だけ当てはめて覚えていっても、必ずどこかで行き詰ります。多くは接続詞を使って、主語と動詞のカタマリを2つつなぐ複文(中学2年生で習います)になったあたりで破綻します。1つの文に動詞が2つ登場する不定詞でとどめを刺されます。
文法という決まり事を理解(「覚える」では不十分です)し、自分で使いこなせるように応用する、そのために基本問題を中心に演習する、という勉強の仕方の基礎が詰まった分野と言えます。
英文解釈・長文読解・英作文
特に中学校で顕著ですが、教科書のボリュームアップに伴って置き去りにされがちな分野です。
主語は何か、動詞は何か、修飾関係は、使われている文法は・・・。
英単語や英文法で培った知識を本格的に応用し、英語で書かれた文章を読み解くのが「解釈・読解」、日本語で考えた内容を適切な英語で表現するのが「英作文」です。
リスニング・スピーキング
上で学んだ要素を、紙の上ではなく、頭で考え、耳で聞いて、自分の口で表現する力を養うのが、リスニングとスピーキングです。
4技能(話す、聞く、読む、書く)という言葉が一昔前から喧伝され、リスニングとスピーキングに重点を置く授業展開が主流になっています。
ただ、4技能はどこまでも4つの技能ですから、どれか一つや二つに偏重しても力は上がりません。ましてや学力が高まるなんてことはありません。
ここまでは前置き
ここからは、かなり厳しいお話をしていきます。
「英語が苦手」とおっしゃる生徒さんは多いです。
ただ、英語の点数が極端に低いなどの理由で英語の悪さが目立つから、「英語が苦手」と言っているだけで、少し経てば「勉強が苦手」だったんだと(言葉は悪いですが)化けの皮が剥げます。
「英語ができない」とおっしゃる生徒さんの多くには、このような共通点があるのです。
暗記ができない
記憶力が弱い、などの能力的な問題を抱えている場合もあるのかもしれませんが、多くの場合は「根気がない」ことがほとんどです。
勉強の基本といってもいい、「根気よくやる」マインドがない時点で、勉強への適性は相当低いといえるでしょう。
応用力がない
文法の授業をしている場面で多くみられる傾向です。
簡単に言ってしまえば、「一つ教えるとそれしか使えない」頭になってしまうのです。
I amを覚えると、全て「私は」で始まる文をI amではじめてしまう人は一定数います。
その結果、I am play tennis.(私はテニスをします。)のような英文を作ってしまう場面は多いですね。
主語や動詞に対する一般化された知識が身につかない(理解できない)ケースです。
思考力・理解力がない
思考力というと大げさかもしれません。
簡単に言うと、「何を聞かれているのか、何を考え、何を答えればいいのか、何を書けばいいのか」が問題から把握できないパターンです。
私が見た例ですと、同じ文法事項の練習問題で、「~しませんという意味の文にしなさい」と書かれていれば答えられるけれど、「否定文にしなさい」と書かれた問題になると答えられない、ということがありました。「~しません」と「否定文」が同じことを指しているのがわからないわけです。
国語の問題では?と思われるかもしれませんが、用語の意味を考えて理解することができないのだと思います。
他教科でも同じ
英語には勉強のエッセンスが詰まっています。だから、大学受験でも高校受験でも、多様な科目数の受験を行っているにもかかわらず、英語は試験科目に入っているのだと思います。
文系だろうが理系だろうが、共通して受験や入学以後の勉学に求められる「学力」をはかるのに、格好のツールが英語という科目なんだと思います。実際、英語が得意であれば、その能力を活かして他教科の勉強に応用が利きますから、理科や社会でも点数が取れます。国語の古典の勉強にも活きます。
もちろん英語が万能というわけではありません。「学力」の中でも、計算力や推論能力、論証能力はさすがに英語で問うわけにはいきませんからね。そこは数学や国語の出番です。
もしも、勉強で人よりもいい成績、少しでも進学実績のいい高校へ、と思う場合、英語の勉強を死ぬほどした方がいいと思います。
次回は英語の勉強にかかわるお話をしていきます。