こんにちは。
前回は1学期に心がける内容として、中学1年生の科目ごとのお話をしました。
今回は「成績不振を放置することの問題点」をお話ししましょう。主として小学生の時に成績が良くなかったお子さんを対象にしたお話です。
取り返しが大変
まず、何より大きいのは、「中学の勉強スピードは速いので、取り返しが困難になる」という点です。
以前、私立の進学校との比較で「リカバリーのチャンスがある」とお話ししたことと一見矛盾するような気もするのですが、あのお話はあくまでも「私立と比較して」という前提です。お子さんの学力が低い場合、公立中学であろうがスピードは速いのです。
ただ、より深刻な問題なのは、スピードの速さだけではありません。
成績不振が長引く、あるいは脱却が不可能になる要因は三つあり、その三つが致命傷になるのです。
①そもそも基礎学力が不足していては取り返しなんて無理
まず一つ目は基礎学力の不足です。
前回お話しした、「漢字の覚え方」「計算能力や単位計算の知識」「英単語の覚え方」などの基礎学力が不足していると、中学の学習内容を理解して取り戻すなんてどだい不可能です。
そういうお子さんについてご相談をいただく場合、まずは「学力や学習に大きな穴が開いている(基礎学力が足りないという意味です)ので、そこを埋めるのが第一優先です。それまでは学校についていくのは難しいですよ」とお答えすることになります。大体の親御さんは納得されますが、本当の問題はここからです。
②目の前の結果に目を奪われてしまい、気持ちが弱まる
上のようにお話しし、納得されていたとしても、ことは簡単ではありません。
学校に遅れている状態から基礎学力をつけるというのは、学校で今やっている内容とは関係のない分野(例えば小学校の内容や暗記課題など)を徹底して練習していくことだからです。
その間は学校の内容なんて勉強している余裕はありません。というよりも学校の内容を説明したところで、基礎学力が不足しているのに理解なんてできるわけがないからです。
そうしている間にも学校の内容は進みます。小テストや定期テストもやってきます。当然ですが高得点なんて取れません。下手をすれば点数は下がります。
そうするとどうなるか。お子さんも親御さんも気持ちが弱ります。「勉強してるのに成績が上がらない」となるわけです。上でお話しした、「基礎学力をつけるまでの間、学校についていくのは難しい」という話は頭からすっかり消し飛んでいます。
ここで勉強を諦め、塾を辞める親御さんって結構いらっしゃいます。こうして学力を取り返すチャンスをどんどん失い、泥沼にはまるコースに入るわけです。3年生くらいになって受験のために改めて塾などを考えるようになったが、その時にはもうどうにもならない、というパターンの出来上がりです。
③プライドが邪魔をする
これもよくあるパターンなのですが、プライドが邪魔をするパターンです。小学生の内容なんて勉強したくない、というわけです。
ドラマになった漫画「ドラゴン桜」でも、初歩の基礎学力をつけるために中学の問題集や小学校のドリルを使って勉強するところから始めるシーンがありました(作品の舞台は大学受験で、登場人物は高校3年生です)。やっぱり最初は生徒たちが抵抗の姿勢を見せていました。プライドが許さないのと、基礎学力の大切さへの無知を表すシーンでした。
最近の学校や塾は「個性」が中心になっているので、「周りから遅れている」ことへの意識が薄くなりがちです。「個性」を重視するのが悪いことだとは決して思いませんが、変なプライドが肥大するような個性だったら不必要だと私は思います。
できていない、遅れていることは「できていない、遅れている」とはっきり言うことの方が、よほどその子の将来のために大切だと思うのですが、難しいのでしょうね。
ではどうするか
お子さんの現状を見つめてあげてください。
小学6年間をしっかり見てきた親御さんであれば、お子さんがどうなりそうか、どんなところで躓きそうか判断できるはずです。もし小学生のうちに手を打てていなかったのであれば、今のうちに手を打ち始めましょう。幸い、最初のテストまではまだ時間があります。
手を打ってきたけれど効果がなかったというのであれば、考え方を変えましょう。とはいえ、考え方を自分一人で変えるのは難しいものです。学校の先生や塾、親せきや友人など周りの人に違う意見を求めてもいいと思います。
変えられるところから変え、変なプライドは捨てましょう(あるいは捨てさせましょう)。大事なのは今ではなく、先です。
まとめ
いかがでしょうか。
昔と違い、今の中学生はあっという間に成績が二極化します。成績不振だと困る、というのであれば早めに手を打ちましょう、というのが今回の趣旨です。
次回は2年生のお話をします。