逆転合格

よく学習塾や教育関係のサイト、書籍などで「逆転合格」という言葉を見かけます。

具体的に「偏差値35から〇〇大学へ」「合格可能性E判定から〇〇大学に合格した方法」のようなタイトルの本だったり、「ビリギャル」のように映画化されたものもありますね。

今回はこの「逆転合格」という言葉について考えてみたいと思います。

初めに断っておきますが、私には「逆転合格」という言葉や現象を眉唾だなどと否定したりする意図は一切ありません。「逆転合格」という言葉を考える際に注意してほしい点について、私なりの考えをお話ししたい、というのが今回の趣旨です。

特に現状成績が悪い、志望校に全然届いていないと感じている人ほど注意してほしいと思っています。問題は「逆転合格」がどうか、という点ではなく、勉強(特に受験勉強)における心構えが問われる部分にあるからです。

逆転合格とは

あまり定義することに意味はないのかもしれませんが、「志望校と現在の成績や偏差値に圧倒的な差があったけれども、(基本的には1年や半年などの短期間で)その差を埋めて合格を果たした」という意味で考えればいいかと思います。

負けているという認識、ありますか?

スポーツの試合でも何でもそうなのですが、「逆転」には大事な当たり前の前提があります。

今、自分(あるいは自チーム)は負けているという前提です。

「逆転合格」という言葉に目を輝かせている人たちを見ていると、この前提に対する認識がゼロとまでは言いませんが「甘い」と感じることが多いのが率直な感想です。

勉強の場合、「負け」というのはテストの点数や偏差値などの「数値」でしょう。スポーツでいう点差のようなものです。これが負けている、というのは単に「自分の点数や偏差値が平均点や志望校のラインに届いていない」という数値の「差」だけではありません。この数値の裏には「この数字や点数を取っている人たち」がいるのです。

おわかりですよね?勉強で「負けている」というのは、「点数や偏差値が足りない」のではなく、「その点数や偏差値を取っている人たちに負けている」という意味なのです。何が負けているのか。それは「努力量」かもしれませんし「学習能力」かもしれませんし「志望校への熱意」なのかもしれません。全部かもしれません。

「逆転」への認識、ありますか?

「負け」を認識できたとして、ではどうやって「逆転」するかというお話になります。

もう一つ、「逆転」について当たり前の認識を持たなくてはいけません。それは、「相手より高い点数や高い能力、強い力がなければいけない」という認識です。

上記の「負けの認識」に立てば、「目標の点数や偏差値をとっている人たち以上に努力や能力、熱意がないと逆転は無理」というわけです。当たり前のことを言うな、と言われそうですが、具体的にイメージができるでしょうか。

スポーツに例えるとわかりやすいのですが、例えばマラソンなどで目指すライバルが自分より100m先を走っていたとしましょう。このとき、自分が頑張って前の人と同じ速さにスピードを上げたとしても、逆転は不可能です。差が開かなくなるだけです。追いつくためにはライバルよりも速く走らなければいけなくなるのです。あるいは、ライバルがペースを落とすタイミングでもこっちはペースを落とさないことが必要になるのです。

勉強に置き換えてみましょう。「他の人が勉強していなさそうな時間も勉強する」「他の人よりも速いスピードで問題集をこなす」など、他の人を上回る努力をしないと逆転なんて不可能なわけです。

高校入試における逆転合格

以前にも話題にしましたが、高校受験にはドラマチックな展開がありません。それは、「大逆転」が少ないからです。なぜか。特に兵庫県のお話ですと、入試の点数の半分が内申点だからです。乱暴な話をすると、「受験が始まる前に勝敗の半分以上が決まっている勝負」なのです。

もし、高校受験において逆転を考えるのであれば、遅くても3年生の1学期からスタートしなければいけません。お子さんの基礎学力に問題がある場合、それでも遅すぎて間に合わないかもしれません。大学受験の場合、最悪入試本番の1月や2月に学力が追いつけば何とかチャンスは残っているかもしれませんが、内申点は3年生の1学期から算定が始まります(兵庫県のお話)。2学期末には内申点は決定しますので、2学期や3学期に挽回することはできません。また入試本番のテストは250点満点しかないので、内申点で大きな差が付いてしまうと挽回は不可能です。15点の内申点差は30点の学力テストでカバーしなくてはいけないわけです。

ですので、3年生の夏休みくらいになってから「えらいこっちゃ」と騒ぎ立てても手遅れです。2学期に挽回して少しでも内申点が伸びれば「ラッキー」くらいに考えた方がいいでしょう。

最後に

逆転合格は全くのウソ話や絵空事というわけではありません。ただ、そうだからと言って「自分だって今から頑張れば」と安易に考えるのはナンセンスです。

今、負けているという自覚はありますか?

逆転に必要なライバルの倍以上の努力とそれを継続する熱意、覚悟があなたにはありますか?

(特に高校受験の場合)あなたの置かれている状況は本当に逆転が可能な状況ですか?

当たり前ですが逆転は大変です。たいていの場合は不可能です。大変な部分、自分にとって都合が悪い部分には目をつぶり、大逆転の方法にばかり目を輝かすような間の抜けた考え方をしている人には一生逆転なんて無理です。勉強においても人生においてもです。

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