最近、何名かの生徒にこんな言い方をしている。
「今、何をしたい?何が不安?」
入塾当初はこちらが勉強内容を先導するようにしていたが、今は「自分の不安な部分」に焦点を当てさせるようにした。するとちゃんと答えが返ってくるようになった。「社会がやりたい」「因数分解が不安」といったたぐいの言葉だ。
もちろん、生徒の言うことすべてに応えるつもりはない。科目や内容が偏ってしまわないようにバランスを取らなければならないからだ。そこの矯正は適宜行う。そのことも伝えた。それでも、このある種の「自主性」の芽生えは格好の機会だ。参考書片手に、あるいは類題のプリントの山を相手に格闘してほしい。こちらも教えすぎないようにバランスを取りながら、その芽を大きく育てたい。
私も声のかけ方を意識しなければならない。「この生徒にはこれが足りなさそう」「あの生徒にはここが苦手そう」、逆に「この生徒はここがよくできそう」「これをやればもっと伸びそう」という箇所を、あまり直截的には指摘せずに示唆していきたい。私の口から出る遠回しな言い方から、自分を知り、不安点を理解し、自分で克服しに行く姿勢をはぐくみたい。
それは勉強に限った話ではない。社会に出たときに大きな力になってくれると信じている。そのことも耳にタコができるまで伝え続けたい。