ゴールデンウィークが終わった。
私の方ではあまり遠出することもなく、近場で少し遊んだ程度で、あとは今後に向けた勉強の進め方などをゆっくり考える時間にしていたのだが、この間、いろいろな塾や塾講師の話をネットやSNS等で読んだ。そこで気になったのは、「愚痴をこぼしている先生の多いこと」。匿名のSNSなのでどこのどんな塾の先生なのかはわからない。口調で予想はつくものの性別もわからない。雇われた社員講師なのか独立した個人塾なのかもわからない。だからまあ言いたい放題言えばいいとは思うのだが、その中身は子供たちやその保護者に対する愚痴ツイートのなんと多いこと。「大変なんだな」と同情はするが、同時に「こんな先生に教わりたくないよな」と子供さんが気の毒で仕方がないのだ。
匿名で愚痴を言うことでストレスを発散し、普段はちゃんとしているとその先生たちは言うかもしれない。ただ、一度そういう活動を始めてしまうとエスカレートするのが常だ。どんどん愚痴の成分は濃くなる。批判コメントがつくこともあるので余計にストレスがたまる。また過激な愚痴を言い出したくなるだろう。他人のツイートに絡みたくなるかもしれない。SNSの投稿をやらない私からしてもそれくらいは想像できる。依存性が強まりはしないかと心配になる。
もう一つ。こっちの方が心配なのだが、こういう愚痴の類を言い続けていると顔に出る。具体的な内容に踏み込んだ愚痴が増えれば増えるほど、そのやり玉に挙がっている生徒に向かい合うときの表情をどうしているのだろう、と考えてしまう。もちろん何事もなかったようにふるまえるのだろうが、人間そう簡単に二つ以上の顔を使い分けるのはうまくないと私は思っている。意識していなくても顔色に表れる。声色に表れる。他の生徒との接し方の違いに表れる。子供が気の毒で仕方がない。
私は何も「愚痴をこぼすな」と言いたいわけではない。私だって愚痴をこぼしたくなるシチュエーションには何度も遭遇した。でも愚痴をこぼす相手は家族であり友人であり、顔を見られる相手だけだった。友人であったとしても仕事上のかかわりを持たない友人限定だ。多くの人はそうだろう。それが何か仕事に悪影響を及ぼすわけでもない。
もしも指導や進路にかかわる重大な問題を持つ生徒がいるのなら、私は直接本人に話す。文句を言われようが保護者にも話す。場合によっては具体的な名前や内容は避けながらだが、他の生徒たちにも話してしまう。
今は皆が気を遣いすぎているのではないか。直接本人に注意できないから匿名のSNSでぼやく。結局問題が解決したわけではないから、似たような問題がほかの生徒にも起こる。またぼやく。内容はエスカレートするし、言い方によっては批判も受ける。ストレスから生徒以外の他人に対しても攻撃的になる。負の連鎖しか起きないような気がしてならない。
塾の先生方、SNSはもっと有意義に使いましょうよ。愚痴が言いたくなる気持ちはわかるけれど、愚痴は何物も生まないよ。そんなことを考えたゴールデンウィークであった。