今回は英語その3として、高校英語というよりも受験英語をテーマにします。
ここでいう「受験英語」というのは、大学受験における英語と考えてください。
高校英語
2022年度より、高校英語も新しい指導要領に基づいて授業が実施されます。
改訂の内容に詳しく突っ込むことはしませんが、簡単に高校英語の注意点をまとめておきます。
まず、中学校で学んだ文法事項がさらに深くなります。中学生の時に習得した文法事項の延長(「現在完了→過去完了」「関係代名詞→関係副詞」など)や体系的な整理(「文型」「時制」など)、発展的な内容(「分詞や分詞構文」など)が盛り込まれます。中学生の時に何となく理解していた内容が一気に整理されるので、中学校の内容をいい加減に理解した状態でいると、一気にわからなくなってしまいます。
次に、「英文の解釈」という新たな勉強をします。中学生でやってこなかったわけではないのですが、高校英語では明確に「主語や動詞を見つける、修飾関係を見極める、構文を把握する」などの作業が必要になります。でないと難解な英文(国語でいう評論文など)が読めないからです。
さらに、リスニングなどの言語活動の分野も難しくなります。後でお話ししますが、大学入学共通テストでリスニングの受験が必須だからです。
受験英語
受験英語では、さらに深くて濃い内容が追加されます。
まず、入試問題に対応できるだけの英単語量が必要になります。高校入試と異なり、大学入試ではよほど専門的な言葉でない限り、英単語に注釈がつきません。市販の英単語帳などを活用してどんどん語彙力をつけなければなりません。
次に、英文法や語法問題対策が必要です。これは、主として私大の入試で出題されます。以前はセンター試験に出題されていましたが、共通テストに代わってからは単独の出題はなくなっています。
さらに、英語長文の問題です。これは、長文の内容を把握する、英文解釈を駆使して和訳する(国公立の二次試験)、といった問題に対応しなくてはいけません。大学によっては英語長文の要約(東大など)も出題されますので、解釈を中心にした精読、制限時間内に内容を理解し解答するための速読など、英語の総合力が問われます。京大などでは日本語に訳されても内容がわかりにくい素材文が出題されるので、国語力や教養も身に着ける必要があります。
そして英作文の問題です。これは主として国公立大の二次試験に出題されますが、単純な「日本語を英語に訳す」英訳問題、「意見を50語程度で書け」という自由英作文などの形で出題されます。当然ですが語彙力や文法知識がないと英語で作文なんかできませんので、知識の整理(インプット)と実際の答案練習(アウトプット)を積まなくてはいけません。
最後にリスニングです。これは、国公立を受験する場合、共通テストで必ず解かなければいけませんし、国公立二次試験と私立を問わず、外国語学部などの試験で出題されます。
受験英語のお話をめちゃくちゃざっくりしましたが、大事なのは何が出るかだけではありません。前回のお話で、英語を苦手にしていると悲劇が待っているとお話ししました。それがこの受験英語なのです。どういうことか。
大学受験は英語から逃げられない
大学受験を考えるにあたって、英語から逃げるのは不可能に近いのです。
一般受験を考えると、共通テストの受験義務がある国公立大学は言わずもがなですが、私立大学を考えても、英語受験は「ほぼ必須」です。
一般的に私立文系は「英国社」、私立理系は「英数理」が受験科目です。どちらであっても英語は受験科目に入ります。近年は1科目受験などのユニークな方式もありますが、そういう場合であってもその1科目が英語指定であったり、もし英語以外の1科目であったとしても、そもそもその方式で募集する定員自体が非常に少ないなど、例外的な存在です。
では推薦入試であればどうか。総合型選抜であれ、学校型選抜であれ、「受験科目に英語が含まれる」「学校の成績が問われるから英語の成績が悪いと受けられない」「英検などの級位が必要」のいずれかに引っかかってしまうので、英語の勉強から逃げて大学に進学するのはほぼ不可能です。
最後におまけ
何とか大学に進学したとしても、大学では英語および第二外国語の習得(単位取得)が卒業要件です。何学部に進もうが変わりません。
英語は大切です
受験を考えた時、進学を考えた時、英語をおろそかにするのは、進路を閉ざすに等しいです。
今は苦手であったとしても、基礎に立ち返って少しずつ取り戻す努力をスタートしてほしいですね。