学校では期末懇談が近づいてきた。
中3生にとっては、志望校が受験校に変わる時期である。
道半ばで受験校を変更する人もいるの違いないが、気を付けるべきことがある。本人ももちろんだが、特に親御さんは注意した方がいい。
それは、志望校を「下げた」という表現だ。
おそらくは偏差値や高校の序列(これも偏差値をもとにした学力の序列であって、個々の高校の良しあしを言っているのではない)を考え、下げるという言い方になるのだと思う。
ただ、いささか酷な言い方になるかもしれないが、志望校を下げるという言い方は好ましくない。志望校を下げたのではなく、「あなたにとって適切なラインに落ち着いた」というのが最もふさわしい。
これもあまりよい言い方にはならないかもしれないが、高校受験というのは、多くのお子さんにとって初めての、能力別クラス分けの意味合いを持つ。高校に偏差値の序列というものがあるのだとしたら、それはとりもなおさず、その能力別クラスの名前が各々の高校名に変わっているだけに過ぎない。
中学受験で私国立の中学に進んだお子さんは、多くの人より3年前倒しして選別を受けた、といっていいだろう。
ここまでこんな言い方をしてきたが、この能力別クラス分けとしての高校受験は、有意義だと思っている。中学までは、多種多様なバックボーンを持った人たちと接し、能力の高くない人、そうでない人と対等に交わる貴重な期間だと、私も思っている。
ただ一方で、人が成長していく過程で、能力に応じた教育や指導を受けることは大切だ。できる人には高度な、苦手な人には苦手なりの、そういった教育をうける中で、自分の能力の範囲内での最大の努力と適正な進路を探す経験が必要だと思うからだ。
進みの速い人たちに置いてけぼりにされてもいけないし、逆に遅い人たちのペースに巻き込まれて進みが遅くなることもあってはならない。それがために人材が育つ機会をそれぞれに奪うことは、高校という場ではあってはならない。
いろいろなことを言ったが、皆さんが適切な能力に応じた高校などへ進まれることを願ってやまない。