モチベーション論

中学生

モチベーションがわかない、モチベーションが下がっている、などなど。モチベーションが勉強に影響する話はよく聞く。

試しに「モチベーション」で検索をかけてみたが、予測検索で続く言葉には「モチベーション 上げ方」「モチベーション 上がらない」などが上がった。

勉強を指導する場面で、「モチベーションがうんぬん」という言葉もよく聞く。

今回はこの「モチベーション」に対する考え方をお話ししたい。

(ここでは「モチベーション=やる気」と単純に考えてお話を進めます。)

できない人ほどモチベーションを持ち出す

「最近モチベーションが上がらないから・・・」

「この子、全然やる気がなくて・・・」

指導の現場でよく聞く言葉だ。また、このようなことを言いたいお子さん、親御さんも多い気がする。

ただ、一言で言いきってしまうのだが、「やる気」という言葉を、文脈がポジティブでもネガティブでも使うのは、成績の良くないお子さん(あるいは親御さん)だ。

なぜそうなのか。

ここからは、成績の良い人との対比で考えていきたい。

成績がいい→やる気に関係なくやる

成績がいい人の傾向だが、勉強を「やる」ことが先で、「やる気があるからする」「やる気がないからしない」という考えはあまり持っていないように思われる。

やる気云々が何であれ、勉強をすべき時には勉強をするのがルーティン化しているのだ。

勉強は「するもの」であって、そこにモチベーションがあるのかないのかは関係ない。

これは、仕事や家事をする親御さんであればよくわかると思う。

「やる気がないから仕事をサボる」、「モチベーションがわかないから家事をしない」・・・

そんなことあるはずがない。

体調や状況のせいでやる気が起きにくい場面はあるだろう。でも、仕事や家事はサボらないはず。決まった時間に仕事場に向かうだろうし、決まった時間に掃除や洗濯をするはず。そこにやる気のあるなしは関係ないはず。

勉強だって同じ。

モチベーションが先か行動が先か

ここまでで、一つの考えをお伝えしたい。

できる人とできない人の間には、それを分ける一つの思考あるいは行動の様式がある、ということだ。

それはこれだ。

できない人=モチベーション(感情)が先」、「できる人=行動(理性)が先」という、「ニワトリと卵」のようなお話だ。

少々乱暴なのは承知の上で、わかりやすい差にしてお話ししよう。

どちらが先かの差

前提として、勉強量や質の値をを適当に0~10の数値にして考えてみたい。

モチベーションが先の考え方の場合、やる気のない日は勉強はほぼしない。3日に1回くらいやる気があって、その日だけはして5くらい勉強したとする。これを続けると、3日間の平均はやる気のない日=1、やる気がある日=5として、「(1+1+5)÷3=約2.3」である。

では行動が先の場合はどうだろう。毎日決まった分(5くらい)をやる気に関係なく勉強し、3日に1回くらいやる気のある日に10勉強したとしよう。3日間の平均は「(5+5+10)÷3=約6.7」になる。

これが1週間なら2倍くらい、1か月なら10倍くらいになるわけだから、1か月たてば23対67、3か月たてばおよそ70対200になるわけで、圧倒的な差が出来上がるのだ。

何度も申し上げて恐縮だが、計算や数字が乱暴なのは承知の上だ。だが、やる気を先にするか行動を先にするかの違いの大きさはお判りいただけると思う。

最後に

では、モチベーションとは何か。

モチベーションは、あくまで「勉強をプラスに働かせる」作用をもたらすもの、と思った方がいい。モチベーションが高い時期というのは、「普段の勉強以上に深くたくさん勉強できるとき」である、という位置づけだ。そういう思考が、ほとんど無意識のうちにできているのが成績上位者だ。

モチベーションを「勉強するために必要なもの」と考えている間は、成績アップはあり得ないと思う。

そういう考え方の人にとって、モチベーションは「マイナスを元に戻すもの」にしかなりえないからだ。ご自身の胸に手を当てて考えていただければわかると思うが、モチベーションが高い日なんて年に何日あるだろうか。モチベーションがわかない日の方が圧倒的に多いはず。では、あなたにとっての1年はマイナスだらけだろうか。そうではないはずだ。それは、「モチベーションのわかない時=マイナス」にならないよう、普段から行動しているからだと思う。

家事や仕事、お子さんの場合は手洗いや歯磨き、入浴などと同じように「モチベーションに関係なくやる」ものとして勉強をとらえることができるなら、きっと成績上位者になれると思う。

なぜなら、大部分のお子さん(とその親御さん)は「モチベーションが先」だからだ。

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