ビジネス関連の自己啓発本などの影響か、最近では塾の広告にも自己啓発本のような言葉やシステム等を売りにしたものが増えたような気がする。例えばPDCAなどだ。
もちろん、教育でもビジネスでも「自分を高める」という部分は同じなのだから、このような用語が売りになる側面は否定しない。
でも、私は誓ってその手の言葉は使わない。
別に自己啓発の用語が嫌いだから使いたくないわけではない。ただ、この手の言葉の内側に、どうしてもある種の浅薄さを感じてしまうから、使いたくないのだ。
これはビジネス界隈に限らないが、多くの人が声高に使う言葉というものは、人口に膾炙するほどに陳腐化する。
「PDCA回してます」などがそのたぐいだろうか。
早い話が、これさえ言っておけば「できる人、意識高い人」と思われるだろう、というある種のファッション的色彩を帯びるのだ。そうすると、言葉は本来の意味や重みを薄れさせてしまう。
本来、自己啓発や自分を高める、という取り組みは自分の身を痛切に切り刻む痛みを伴う。自分の良くない部分を見つめ、それまでの自分の考えや動きの流れに無理やり逆らいながら行うべきものだからだ。
私は常から「強くなる」ことを標榜しているが、強くなるには、まさにこの痛切な努力を必要とする。
それを何かしらファッション的色彩を帯びた言葉で簡単に片づける、という気持ちにはどうしてもなれないのだ。
あくまでも日常の動きから、日々の意識から、できたことやできなかったことの一つ一つから、自分の中にある「何か」を発見し、それを自分を「強く」する養分に変えてほしい。簡単に言葉だけで伝えるようなことは絶対にしたくない。
「頭が古い」と思われようが、泥臭く伝え続けたい。そこに「真の強さ」が芽生えると固く信じているから。
末筆ながら、ビジネス用語や自己啓発に関する内容を否定する意図は一切ないことを重ねて申し添えておきたい。真面目にその内容に取り組む人に対しては尊敬している。ただ、軽薄さを帯びるような現在の使われ方が、ただただ残念なのだ。