こんにちは。
今回は英語その2として、中学生の英語についてお話しします。
内容の増加
中学生の英語は、今年度からの教科書改訂で内容が大幅に増加、変更されました。
簡単にまとめると、
①「現在完了進行形」「仮定法(の一部)」「原型不定詞」などが高校内容から追加
②習得単語数が増加(1200語程度→1600語以上)
③小学生英語を習得した前提で進む教科書
④にもかかわらず増えていない英語の授業時間
順番にお話ししましょう。
①高校内容の追加
ここで大事なのは、高校から難しい内容がおりてくる、ということだけではありません。
中学3年間トータルで習得する内容が増えたことが問題なのです。
小学生の英語でお話ししましたが、小学校では英文法についての解説は行われません。
そうするとどうなるか。
「小学校で習った表現の文法解説」「従来から中学校で習っている内容」「高校から一部おりてきた内容」を全て中学校の間で習得しなくてはいけなくなるのです。
②習得単語数の増加
中学での習得単語数は上であげたように1200語から1600~1800語に増加します。
これだけでも1.3倍以上の増加ですが、問題はこれだけではありません。
この中には、小学校で習得することになっている語数(600語以上)が含まれていないのです。
どういうことか。
まとめると「覚える単語数が増えた。そのうえ、覚えないといけない単語のレベルも高くなった」ということです。
体感でいうと、「従来の高2レベル」くらいになる、とイメージできます。言い換えると、「大学受験勉強を開始する前段階レベル」です。
③小学生英語を習得した前提で進む教科書
小学校では、5年生から(あくまで教科として)英語を勉強します。
この間、表現としては様々なものを学びます。
I am ~.やI like ~.はもちろん、WhatやWhenなどの疑問詞、want to do(不定詞)などの従来なら中学2年生で学ぶ表現も、小学生の間に習得させられます。
中学生になると、これらに文法的な説明がなされるとは①でお話ししました。
ということは、上記の内容は中学1年生の段階で取り扱ってもOKということになりますし、実際教科書はそういう構成になっています。
さすがに不定詞などは内容が難しいので2年生で扱います。ところがこれが大きな問題を招きます。
若干わかりにくい言い方を使ってしまったので整理します。
「want to doは小学生で習った」「不定詞の文法的な説明は2年生でやる」
ここから導き出される答えは「want to doは1年生でも教科書本文に入れていい」です。文法的な説明だけ2年生に回し、小学校で習ったから表現として教科書中で使うのはOKという理屈です。
まとめると、「教科書は難しくなります(本文も内容も)」。
④にもかかわらず増えていない英語の授業時間
難しくなった一方、英語の年間授業時間数は変化していません。他の教科より英語が優先されるわけではないからです。それに、他の教科も内容が増加していますので、授業時間数を増やすと毎日7時間授業とかになり、「どこかのスパルタ進学校と変わらんやん!」ということになってしまいます。
この結果導かれる結論は一つです。想像つきますよね。
そうです、「スピードが速くなっていく(説明が薄くなる)」のです。
限られた時間(しかも今はコロナ禍で授業がつぶれることも多いでしょう)で内容の濃い教科書を終わらせるにはスピードを上げるしかありません。結果、わからない子は置いてけぼりになりますし、スピードが速い分、遅れを取り戻すための労力は並大抵ではありません。
まとめ
昔話をしても何にもならないのですが、我々の世代では、英語は中学校からスタートでした。全員横並びでアルファベットの書き方から始めるので、他の教科が苦手でも英語だけは、と取り組む余地があったのですが、今ではそんなことは許されません。内容が簡単ではない分、最初が計算メインになる数学よりも差が開きやすいです。
そしていったん沈没すると浮上が難しいのも英語という科目です。英文法という、言語能力や理解力を必要とする内容を、小学校で習った内容に上書きする勉強の仕方が必要になるからです。
小学校でいい加減に勉強していると、中学生になった瞬間落ちこぼれます。
それはさらなる悲劇につながります。
次回のこのテーマでは、この「悲劇」に関連して「高校英語(受験英語)」を取り上げます。
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