こんにちは。におか塾塾長の新阜です。
前回、大学進学への方法の一つとして、内部進学のお話をしました。
今回は、「受験による進学」についてお話しします。
大学受験には多くの種類があり、細かいお話をするとややこしくなるので、項目を分け、まずは推薦入試のお話しをします。
推薦入試には、大きく分けると3つの方式があります。2020年度の入試制度改革で名前が変わっていますので、前の呼び名も併記します。
①総合型選抜(旧:AO(アドミッションズ・オフィス)入試)
②学校推薦型選抜(公募制)(旧:公募推薦)
③学校推薦型選抜(指定校制)(旧:指定校推薦)
順番に見ていきましょう。主として私立大学のお話です。
①総合型選抜
学力のみにとらわれず、高校時代に打ち込んだことやその実績、大学で研究したいことなどを評価します。大学はそれらを見ながら、自分の学部のアドミッションポリシー(学生の受け入れ基準のこと)に照らし合わせて、ふさわしい学生を選抜します。この入試の特徴は、「学力試験がない」というところです。医療系など、例外的に学力試験を課す大学もありますが、大半の大学では、志望動機や活動実績の記録などを文書として提出し、面接や実技試験、グループワーク、小論文などを通じて選抜を行います。企業の就職活動みたいなイメージをしてもらうとしっくりくるかもしれません。近畿ですと、関西学院大学が積極的に導入しています。受験時期はおおよそ9~10月頃です。
気を付けるべき点
まず専願(合格したら必ずその大学に入学すること)の受験が多いこと。時期が早いからといって、合格を勝ち取って「キープしておく」という考えはできません。次に、出願条件を満たさないとそもそも受験できないこと。大学によっては英検の級位や通知書の評定値などの条件が課されますので、満たしていないと出願自体が不可能です。最後の一つは、学力試験との両立が難しいこと。総合型選抜の対策は、一般受験とは全く異なりますし、かなりの労力が必要です。中途半端に両方手を出すと、共倒れのリスクがあります。
まとめ
総合型選抜を目指す場合、高校でどのようなことに打ち込むか、どの大学に進学したいかなど、前もってしっかり情報収集をして取り組む姿勢が重要です。そして、学校の成績も重要になるので、学校の授業をおろそかにしない姿勢も大切です。
②学校推薦型選抜(公募制)
学校から推薦を受け、受験する入試です。高校から推薦書がもらえ、大学が認めている場合は既卒(浪人)生でも受験が可能です。形式は、科目を減らした学力試験(社会を出さない、英語のみ、などなど)が一般的ですので、一般入試と同じく、学力試験対策で挑むことができます。受験時期はおおよそ10月~12月上旬です。こちらの入試は併願可能なことがほとんどなので、一般入試で志望校にチャレンジするための「抑え」として利用する人が多いようです。余談ですが、いわゆる「スポーツ推薦」もこの類型に入ります。
気を付けるべき点
①と同様、評定平均値の基準が設けられていることがあるので、満たさないと受験できないことがあります。そして、評定値はそのまま入試の点数として採用されることがあるので、学校の成績が悪い人には不利です。
次に難関大学と呼ばれる大学ではそもそも実施していないことが多いです。さらに、併願は可能ですが、入学金(25~30万円くらいが相場)を納めないと入学の権利はなくなります。入学を辞退しても返金されませんので、受験料と合わせてお金がかかります。
最後に、「受かって安心して本命の受験に身が入らない」「落ちてへこんでしまい(ちなみにこの入試方式は倍率がめちゃくちゃ高いので、そこそこ出来る子でも普通に落ちます)、受験勉強へのモチベーションが落ちた」は推薦あるあるです。
まとめ
早い時期に受けられる、併願ができる、一般入試と並行して対策できるなどメリットが多い受験方式ですが、費用面、メンタル面など、お子さんの性格や経済的なことを考えながら、うまく受験計画に組み込む必要がある入試です。
③学校推薦型選抜(指定校制)
あらかじめ大学が各高校に推薦枠を設けており、高校が選抜した生徒を推薦する入試方式です。たいていの場合、志望者は重複して枠の人数をオーバーするので、高校で校内選考が行われ、通知書の評定平均値、課外活動、生活態度などを総合的に考慮して選抜されることになります。選抜されると、志望理由書や学習計画などを大学に提出、面接試験を経て合格することになります。校内選考は大体9月頃に行われ、大学での面接試験は11月~12月に行われるのが一般的です。この方式の特徴は、選抜されれば、ほぼ確実に合格できることです(言っておきますが100%ではありません、落ちた生徒がいたという話はたまに聞きます)。志望理由書などの指導は高校でも行ってくれるので、試験自体の対策は楽です。
気を付けるべき点
まず専願制であること。合格したら必ず入学しなければいけません。
また、募集は学部単位で行われるため、大学の推薦枠はあっても、希望の学部に推薦枠がない場合もあります。推薦枠は固定しておらず、毎年変動しますので、「先輩の時にあった学部の枠(場合によっては大学そのもの)が自分たちの時にはなかった」ということもありえます。
次に、校内選考はかなり熾烈です。特に関関同立などの難関大学では、大学側が求める評定平均値(評定は最大が5.0)が仮に4.2であったとしても、実際の選考は4.8や4.9の生徒による争いになりますので、トップクラスの成績を維持しないと、選考を潜り抜けられません。定期テストはもちろん、体育などの実技科目でも好成績をキープしないといけません。また、出席日数や部活動、生徒会活動なども考慮に入りますので、評定平均値が並んでいる場合、帰宅部であったり、欠席が多い場合は不利になります。
そして選考に漏れた場合、一般入試の準備をしないといけません。当然のことですが、9月から準備を始めて間に合うほど、大学入試は甘くありません。しっかり普段から受験準備を並行することが重要です。
最後に、大学の推薦枠は、高校と大学の信頼関係で設けられています。入学後に成績不振になったり、やむを得ない理由以外で中途退学したり、規則違反や犯罪行為等で大学から処分されたりすると、「あの高校の生徒はいらない」と判断され、高校の推薦枠がなくなることがあります。学校や後輩に、将来にわたって取り返しのつかない迷惑をかけることになりますので、入学後もしっかり学業に専念しなくてはいけません。
まとめ
色々注意点はありますが、「実質的に無試験」「早くに進路が決まる」「学校で好成績が取れれば使える」という点でメリットの非常に大きな入試方式と言えるでしょう。これ一本にかけるのは少し考えものですが、高校選びの際の大きなヒントにもなります(これについてはのちの回でお話しします)。
いかがでしょうか。次回は一般受験のお話しをしたいと思います。
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